表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/19

16: 雨の日


 何も予定のない休みの日、朝起きて雨が降っていると何となく嬉しい。

 出来ればしとしと降るよりも、ざぁざぁと音がするくらい降っていてくれたら尚更いい。

 窓を開けて、雨の匂いを嗅いでみる。

 少し肌寒い日なら、そのままもう一度布団に入って雨の音を聞きながら二度寝したい。

 もちろん、休みなら出かける予定の日もある訳で嬉しいばかりとは限らない。

 起きてみれば、せっかく休みなのに布団が干せないとか洗濯物が乾かないとか、そういう弊害があることもすぐに思い出す。


 けれどやはり雨の日はいい。

 空気がしっとりと湿って綺麗になって、呼吸がしやすいような気がする。

 心なしか肌も潤うようだ。


 子供の頃はそれが夏の雨ならそのまま外に出て、土砂降りの雨に降られてみたりもした。

 あれは全く気持ちが良かった、と今でも思う。

 けれど今はもう出来ないなぁ、とも。

 大人になった私は、雨の中に何が含まれているのか少々知りすぎてしまった。


 だから今は一人でカフェオレを入れて窓辺に座り、ざぁざぁ降る雨と時折瞬く雷をぼんやりと眺めたりして楽しんでいる。

 雨の日は音楽も必要ない。


 カフェオレをゆっくり飲み干して、洗い終わった洗濯物を室内にぎゅうぎゅうに吊るしたら、休みの日は昼寝をしよう。

 ほんの少しだけ窓を開けて、雨の音を聞きながら。

 雨の休みの日の、至福の時間だ。


 ただしこれが平日だと靴が濡れるので今まではあまり有難くなかった。

 でも今年はレインブーツを買ったのできっと大丈夫。

 新しいレインブーツが届いたら、平日の雨の日の楽しみを探しながら早めに家を出てのんびり通勤するのもいいだろう。

 靴が濡れる心配がなければもう下を向いていなくてもいい。

 恵みを喜ぶ植物達の艶やかな葉や、雨宿りをする猫、道行く人の傘の柄。

 誰も見ていなければ、少々大胆に水溜りに踏み込んで。

きっと雨の日の通勤もとても楽しいに違いない。


 ……段々と雨の日が更に楽しみになってきた。

 ここは一つ靴が届いたら、久しぶりに照る照る坊主でも作ってみようか?

 ただし、もちろん逆さまで。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ