14: 野鳥
私は小鳥萌えだ、と言うと大抵の人におかしな顔をされる。
勿論、萌えという言葉がすんなり通じる相手にしか口にしないが、今のところこの萌えを分かち合ってくれるのは妹と、あと友人一人二人くらいだろうか。
鳥が好き、と言ってしまえばいいのだがただ単純にそういうものとも違う気がして、この気持ちを表現するにはやはりこの言葉が一番しっくりくる気がする。
それは置いておいて、鳥の中でも特に小さな野鳥が好きで、日本の野鳥という本は私の愛読書だ。
野鳥の何が好きなのか、一言では上手く言い表せない。
例えばあのふくっとした胸のふくらみとか、真っ白なお腹とか、つぶらな黒い瞳とか、折れそうなほど細い脚とか。翼を広げた時の、あの規則正しく美しい羽の連なりも愛しい。
それぞれに個性的な動きも見ていてちっとも飽きない。
虫をたっぷり嘴に咥えていても、魚を丸呑みにしていてもとにかく可愛い。
大きい鳥にも力強い美しさがあるが、できればやはり小鳥の方がいい。
鳥が好きで飼いたいと言うわけではなく、その見かけや仕草がとても好きなのでただひたすら眺めて愛でたいのだ。
あの柔らかそうな胸毛に触れたら幸せだろうと思うが、これを捕まえて無理矢理さわってみたいとは思わない。
声がしたら姿を探したり、実家の庭のサンシュの実を啄ばみに来る姿を窓の中からそっと眺めるくらいで満足すべきだと思っている。
飼う事も出来ない、野鳥という手の届かない存在である所に、ただ憧れだけが募る。
だからやっぱり、この言葉が一番似合う気がするのだ。
野鳥ちゃん萌え!
時々、野鳥図鑑を眺めながら妹とその愛らしさについて語り合う。
同じ萌えを分かち合える仲間が身近にいて本当に良かったと思う時だ。
だが残念ながら二人ともインドア派なので、バードウォッチングに行こう! とはならないのだが。
いいんだ。アイドルは本や画面の向こうに居るからアイドルなんだ。
そんな負け惜しみを言いつつ、いつか田舎に移り住んだら庭に鳥用の餌台を設置するんだ、と密かに考えている。
目指せ、インドア派野鳥ライフ。