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1: 本


 私が初めて読んだ本は何だったろう。考えてみたのだがあいにくそれは憶えていない。

 絵本なのは確かだろう。

 自分で読んだというよりも、母が良く絵本を読んでくれたのを憶えている。

 正確には私が読んでもらったのを憶えているという訳ではない。私の妹に、母が読み聞かせていたのを私も一緒に聞いていたのを憶えている。

 もちろん母は私にも読んでくれていたのだが幼すぎて、記憶にあるのは妹の頃の事だけだ。


 母は感情を込めて絵本を読むのが得意で、妹はきゃっきゃと笑い転げて絵本に見入っていた。

 やがて私達は大きくなり、私は本好きに、妹は本嫌いに育った。

 同じように育ったのに不思議なものだ。ちなみに兄はどちらでもない。どちらかと言うと読まない部類かもしれないが。

 そんな子供の頃の私の一番のお気に入りはぐりとぐら。転がるパンケーキの本や、うさこちゃんがてんぷらを作る本も好きだった。思い返すと食べ物の絡む本が多い気がする。今思うとあの頃から食い意地が張っていたのかもしれない。


 小学校に入って一番好きになった場所は図書館だった。

 皆が友達を作って校庭や体育館で遊ぶ中、私は一人で図書館に入り浸って本ばかり読んでいた。

 あの頃のお気に入りはにわとりが生まれるまでの本。ちょっと科学的だった。

 忘れられない本はしりっぽお化け。とても怖くて未だに記憶にこびりついている。

 少し大きくなってからは、ドリトル先生やファーブルなどが好きだった。

 私にとって学校は勉強以外の時間は本を読む場所で、友達は近所に居たので、家に帰ってから遊んだ。

 毎日とても楽しかったのだが、担任の先生が友達が居ないのではと心配して親にそんなことを聞いたので仕方なく気を使い、クラスにも友達を作ってそれなりに一緒に遊ぶようにもなった。

 それでも本を読むことは止めなかったので、学年が上がって友達が増えてから少しだけ困る事があった。

 なわとびやゴムとびといった遊びを知らなかったのだ。

 誘われても知らないので見ていると断って、皆がするのを眺めていた。幾つかは教えてもらったが、ゴムとびは知らないまま、大なわとびは結局上手く出来ないまま卒業した。


 あの頃の私にとって、本がいかに大事な友達だったのか。

 借りた本を帰り道で歩きながら読んで、ガードレールにぶつかったりしたのも良くはないが一つの思い出だ。

 今の私は多分昔ほど本を読まない。

 ネットの普及で活字を読みたい欲求が満たされるようになったので、本屋で本をあまり買わなくなった。

 それでも好きでたまに買うのは旅行記や外国の風土を紹介したような本や、海外のミステリーやファンタジーだろうか。児童書や絵本も未だに好きだ。料理が好きなので色々なレシピ本を眺めているのも癒される。

 最近はほとんどしなくなったが、仕事や日常に疲れて何も考えたくない時は、好みに合いそうなライトノベルなどを読んだりすることもあった。

 そう考えると……やっぱり結構読んでいる?

 いずれにしろ、本は素敵だ。

 年をとっても付き合い続けたい、私の大事な大事な友達だ。


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