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No.14 信憑性が薄れる理由は「慣れ」


現在、あの裏路地から大急ぎで城に戻ってきたところ。

王が普通に街中を走ってきて、よく誰にも見つからなかったな、って感じだ。そのため、帰りは人通りの少ない道を猛スピードで帰ってきた。




「ちゃんと、俺達にも説明しろよ」


「分かっています。他の二人が戻ってきたら……」




そう言いつつ、ウィルが執務室の扉を開ける。

そんな執務室の中は、予想外な光景が広がっていた。ツインテール女子が眼帯男子を追い掛け回しているという光景だ。しかも、鋭利な刃物のようなものを持っている。そのせいなのかは分からないが、部屋は見るも無残にひっくり返っていた。




「なにが、"ルイチとの約束"よ!喋りなさい、よっっ!!」




そう言ってから、投げられるナイフ。そのナイフは、男の心臓目掛けて一直線に飛んでいくが、男は軽くかわすと、首を横に振った。

それを見て怒りの度合いが増したのか、女は見るからに顔を歪ませる。




「へぇ~…、それが仲間に対する態度ですかぁ……。そうですかぁー……」




ベルトに付いてるホルダーから、新たに何かを取り出す。光が反射するそれは、先程と同じ刃物だということが分かる。よく見ると、細やかな装飾が施された鋏だった。持ち手の所が綺麗な黄金で、刃の部分はよく磨がれているのか、銀色に光って先端は鋭く尖っている。少し当たっただけでも、皮を裂いて血管に行き届きそうなほどには。

何故鋏をここで取り出すのか、意味が分からなかったが、それを見るとウィルが顔色を変えて叫んだ。




「ノアっっ!!」


「え……!?」


「………」




女も同様に顔色を変える。ウィルはすぐに、呆れたような表情になった。男は相変わらずの無表情&無口……?




「……!ルイチさん!?」


「う゛ぇ!?」




此方を見たかと思うと急に喋った男。そのせいで、変な声が出てしまった。声が出なくて喋れなかった、とかではなかったようだ。

声も普通の、容姿に似合ったイケメン声………、ちっ。




「生きてたんですね……!良かった……!!」


「えー…、ルイチ生きてたのかぁー……。…って、レイ様!?」




零矢に視線が行くと俺を強引に横へ押しやって、零矢に駆け寄る女。うわー、超ムカツクンデスケド。零矢共々、屠って地に還したい……。まぁ、できないただの戯言だけど。

…一先ずはこっちの、青髪美形男子からだな。くっそー、なんでこんなに美形ばっかなんだ!!さっきの女も、上の上くらいの美女だったし!




「どうしたんですか?もしかして、怪我を……」


「い、いや、それは、ないから……。だいじょぶだいじょぶ」




俺の精神と頭がだいじょばない!!えーっと、一先ずこやつは側近なんだよな?いやいや、自問自答しても意味がない。

そして、ルイチ=オルムステッドとは、かなり深い交流ありっぽい。あと、好意を全面的に押し出してくれてるので、仲はそれなりに良好そうだけど。

そして俺は、こいつについての記憶がさっぱりない。が、なんか知ってるかもー、って感じはする。腹の中で、こいつの情報が燻ってる感じ。うん、キモい。

そして、あっちのピンクのツインテについては、考えたくない。険悪な関係なのが、分かったので。

今も、零矢にピンクのハートを飛び散らせてやがる。あー、いやだいやだ。でもなんでだろ、凄く懐かしい光景のような……。

あっちの世界で、零矢がキャーキャー言われてたからか?まだ三日くらいしかたってないんだけど。

結構頭を振り絞ってみたけど、考えても仕方がないし、事態の改善には繋がらないので、ウィルに助けを求めてみたりする。




「ウィル、説明ー」


「……この人達には、できる限り説明したくないのですが」


「んなこと言ったってよ、じゃあどうすんの?って、話だし」


「それでは、あなたがして下さい」


「説明できるほどには、理解してないから」




俺は、大体分かったというノリなのだ。完全に分かろうとすると、話の次元が違いすぎて(本当に違うのかもしれないが)頭が沸騰しそうになる。

それに、説明したくない、とはどういうことだ。しかも、この人達には?もしかして、凄く物分りが悪いとか?




「それなら、俺から話そうか?」




そう言ったのは、今まで黙ってコトの経緯を見ていたおじさん、基、オズウェル=キッシンジャー。中々にイカした名前だ。おっと、死語か?




「俺にまず説明してくれたら、俺からあいつらに説明すっから」


「それは、一向に構いませんが……。大丈夫ですか?」




ウィルの言い方だと、オズウェル(おじさんはちょっと可哀想なので)が損な役回りをするみたいだ。ウィルが嫌がっていたので、損な役回りなのは確かなのだが。




「少しの不安はあるが、まぁ大丈夫だろう。あいつらは子供だが、それは子供ぶってるだけだ」


「思春期に傷を負うと、一生引き摺る可能性もあるぞ」




例の一人が、この俺だ。軽度の女性恐怖症になったのも、思春期という敏感な時期にも関わらず、姉貴が頭のネジを一本どころか十本くらい落としていたからだ。皆までは言わせるな。否、言いたくない。




「お、急に出てきたねー。大丈夫さ。とっくにすぎてる」


「一人は真っ只中に見えるけどな」


「……大丈夫だ」




大丈夫大丈夫言ってると、大丈夫の信憑性が薄れるぞ?





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