表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/40

能力少女8

 ハーブが閃光を発すると、一条の電撃がミソノ達五人に襲いかかった。

「ニヒヒヒヒヒヒヒッ!」

 初めに不意打ちで狙われた田中が、奇声を発して後ろに弾き跳ばされた。

「むむ! 田中さん! 大丈夫なのですか?」

「誑乱! 油断しちゃダメよ! 高瀬川さん! 鯖街道さんを!」

 隙だらけで後ろを振り返るミソノを叱責し、シャラランがやはり全体を仕切り出す。

「はい!」

 ツブラが魔法の杖にまたもやサーフボードの要領で飛び乗り、急反転して田中の下に飛んでいく。

「しかけて! 妖猫!」

「だから、何で仕切ってんだよ!」

 妖猫は文句を言いながらも、シャラランの声に弾かれたようにハワワに飛びかかる。六頭身から、三頭身まで一気にその身を変じさせた。

 猫耳と、尻尾に加えて、爪と猫のヒゲが生え、目が猫のそれに変わる。

 人より猫に近くなった妖猫が、野生の跳躍でハワワに襲いかかった。

「……あまい……」

 ハワワがそう呟くと、ヘチマのツルが四方八方から妖猫に迫りくる。

「――ッ!」

 妖猫の身が一瞬で絡めとられた。

「……所詮は猫の浅知恵――」

「いいえ、人間の知恵よ! 誑乱!」

「任せるのです!」

 妖猫の背後からミソノが飛び出した。とっさの指示で飛び出しただけだが、シャラランの思惑通りにか、妖猫を隠れ蓑にしてミソノは襲いかかる。

「たぁーっ!」

 ミソノは気合いとともに、ハワワに蹴りを入れようと足を突き出す。足先から、アホ毛までがピンと一直線に伸ばされた。

「……く……」

 ハワワが軽く唸ると、ひまわりの種が迎撃に打ち出された。竹もその身をしならせ、今にも葉を打ち出そうとする。

「むむ。効かないのです」

 ミソノは空中で腕を交差させると、ひまわりの種を防ぐ。だがその身を押し戻され、蹴りを入れる前に着地してしまう。

 そのミソノの後を追ったのは、宙を舞う『家内安全』のお札だ。

 ハワワがミソノに気を取られた隙に、妖猫をとらえたヘチマのツルをそのお札が断ち切る。

「……人間なんて嫌いよ!」

 だがそのシャラランのお札を、更にハワワの竹の葉が切り裂いた。

「しまった! 最後のお札が!」

「ラス一か? 弾切れなら、下がってろ! シャラランの!」

 ツルから自由になり、妖猫がミソノ横に降り立つ。

 その様子に距離を取ろうとしてか、ハワワが一歩後ろに跳んだ。

「深泥池さん! 鯖街道さん、無事です! 気を失ってますけど!」

 ツブラが魔法の杖で、シャラランの下に飛んで帰ってくる。

「そう! 二人に加勢して、私はもうお札が!」

「分かりました!」

 ツブラがシャラランを追い越し、ミソノと妖猫の下に飛んでいく。

「……」

 ツブラの接近に合わせて、ハワワが更に後ろに下がった。

「三対一じゃ、流石に不利って分かったか?」

「ぬう! 覚悟なのです!」 

「仕方がありません! 本気でいきます!」

 妖猫とミソノが同時に地面を蹴り、ツブラが空中で身を翻して魔法の杖を掴んだ。

 ハワワが尚も後ろに下がりながら、右手を振り上げた。

「――ッ! しまった! ダメよ! 皆!」

 事態に気づいたシャラランが叫んだ時にはもう遅かった。

「……食らいなさい!」

 ハワワが右手を振り下ろすと、

「――ッ!」

 その足下のハーブ群が一斉に電撃を放った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ