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騎士の仕事 2

主人公の名前がエレナの時とエルナの時がありますが、正しくはエレナです。気づいた時に修正していますが未だエルナになっているところがあるかもしれません。

 定例報告会の後、私達は部隊ごと分かれて、それぞれ違う場所へ向かった。騎士団は部隊ごとにやることが決まっているらしい。


 モナさんの第1部隊は庁舎や王立図書館などの、国が管理する主要施設の警護だ。ロルフ様の第3部隊は災害時対応と王国を守るための周辺諸国への警戒と緊急時、具体的には大きな事件が起きた時の対応。そしてシルヴィオ様の第2部隊とクレア様の第4部隊は隊の中で更に班分けされ、班ごと配置される領地へ赴き、各領地の騎士と共に街の警護、パトロールを行う。ロルフ様達が大きな事件を担うなら、第2部隊と第4部隊が小さな事件、その場で解決できるようなものに対応する。場合によっては第3部隊の応援にも駆けつけるらしい。

 そしてなんと、シルヴィオ様とクレア様は同じ班で、王都の警護をするらしい。第2部隊と第4部隊がごちゃ混ぜになって班わけされているのではなく、王都を担当するシルヴィオ様達だけが一緒らしい。

 つまり、私は現在シルヴィオ様達と、やたら距離の近いクレア様と、そのクレア様を抑える副官2名、計7名で移動している。


「まさかエレナさんとお仕事をご一緒できるなんて。感激で涙が出てきてしまいます!」


 両手を合わせて満面の笑みの彼女は、仕草は可愛らしいが人に慣れていない私には恐ろしく感じる。どう対応するのが正解かわからない。

 いつでもクレア様の首根っこを引っ掴んで、私から引き剥がせるように、スコット様が彼女の後ろで目を光らせている。


「エレナ、これから私達は各班の班長と共に第一会議室で会議を行うんだ」


 早速王都の警護に当たるのだと思っていた私は、これからまた別の会議に出るのかと面食らった。


 さっきまで私たちがいた場所は騎士団長室、一番最後に入ってきた人の仕事部屋らしい。さっきのは騎士団全体の会議らしい。全体の会議は月に1度だという。

 これから第2部隊と第4部隊の合同で行われる会議は、週に1度行われる部隊ごとの会議だという。因みに班ごとでは毎朝朝礼が行われるらしい。

 部隊ごと何の日に行われるかは決まっているらしいが、第2部隊と第4部隊は火の日に行うようだ。つまり今日。


「今回は何もないといいのですがね」


「前回は色々あったからね」


 渋い表情のクレア様に、苦笑いのシルヴィオ様が応じる。

 今日は火の日だ。先週の火の日といえば、確か前日は私がお祭りで怪しい魔術師を捕まえた日。色々あったということは、あのお祭りのこと以外にも何かあったのだろうか?

 なんにせよ、私は騎士ではない。ここにいるのはシルヴィオ様を護衛するという仕事があるから。ここで見聞きしたことは、知らなかったふりをするのが1番だ。部外者の私が知っていていい内容ではない。



 それからまた少し歩いて階段を降りると、会議室に着いたらしい。私達は茶色の扉の前で立ち止まる。

 シルヴィオ様達に続いてその部屋に入ると、騎士団の制服を着た9人の男女が椅子に腰掛けていた。シルヴィオ様とクレア様に気付くと、9人は立ち上がって敬礼をする。

 そして私に向けられる視線。いや、視線はシルヴィオ様とクレア様に向けられているから、実際私に向いているのは「何故こんなところに騎士ではない部外者がいる」といった疑問、だろうか。

 シルヴィオ様の手振りで敬礼を解いた彼らは、シルヴィオ様とクレア様が腰掛けるのを待ってから彼らも腰掛け、なかった。9人の中の1人、緑色の髪の男性が、手を挙げていた。


「会議の前に、質問をよろしいでしょうか?」


 シルヴィオ様に目線だけで先を促された彼は、遠慮なく私に目を向けてくる。


「なぜこの場に彼女がいるのでしょうか?」


「ああ。知っている者もいるとは思うが、彼女はエレナ・フィオーレ。レオーネ公爵家(うち)の魔術師だ。彼女には今日から私の護衛をしてもらうことになっている」


 答えたのは、笑顔を浮かべたシルヴィオ様。

 「知っている者もいる」ということは、王立学院で私が同じクラスだったことがあるものもいるということか。

 ただ私は誰がそうだったのかよりも、傍から見れば笑顔で優しく見えるシルヴィオ様の声の中に、固いものが混ざっていることが気になる。


「そうでしたか。彼女程の優秀な者が身近にいるのなら、貴方でも安心ですね」


「イアン!」


 どこか含みのある言い方をした緑の髪の男性は、ファーストネームをイアンというらしい。

 この男性がシルヴィオ様に向けた言葉の真意も気になったけれど、何よりも彼のその言葉に強く反応したクレア様の方が気になった。きっとクレア様は彼の言葉の意味を理解しての反応なのだろうけれど、さっきまで私が見てきた彼女とはあまりにも違う。声は低く重たくて、眉は高く吊り上がって、魔力が激しく乱れ、後ろのいる私にも彼女から放たれているものが怒気であることが分かる。

 だがそんな彼女の強い感情は、彼女の隣に腰掛けるシルヴィオ様が軽く左手をあげたことで、普通に見た時にはわからない程度に抑えられた。


「そうだね。とても心強く感じるよ。彼女から鍛えてもらうこともできるからね」


「はい?!」


「鍛えてもらう、ですか」


「実は私に稽古をつけてもらう約束もしているんだ。もちろん、護衛とは別の仕事としてね」


 何となく機嫌が悪そうなイアン様と、「なんですかそれ聞いてませんずるいです」とシルヴィオ様に詰め寄るクレア様に対して、シルヴィオ様は変わらず笑顔だ。笑顔だけど、どこか楽しんでいるように見える。

 なおクレア様は、シルヴィオ様に飛びつきそうになる直前に、スコット様に抑えられていた。

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