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優秀過ぎてSSランク冒険者に任命された少女、仕事したくないから男子校に入学する。  作者: コヨコヨ


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ザウエルが羽根ペン


「私のところに来たら羽根ペンとしてこき使うけどいいの?」

「は、羽根ペンとして生活するのは何とも屈辱的だが、あのカリカリを覚えてしまってはもう、抜け出せない……」


 ザウエルは尻尾をカマキリの尻から出てきたハリガネムシのようにクネクネさせ、息を荒らげていた。こりゃあ、簡単に引き下がってくれそうもない。


「私、一応冒険者だから魔物や魔族が攻めてきても戦うし、同族と戦うことになるかもしれないけどいいの?」

「うちはキアスに操られて抗えない中、攻撃するだけだ。何ら問題ない」

「へぇ……、情が薄いんだね」

「人間だって他人は情が薄いだろ。魔王様と戦うことになったらさすがに気が引けるが、あの魔王様の体を羽根ペンでまさぐれると思えば……。えへ、エヘヘへ……」


 ザウエルは寒気がする笑い声を漏らし、頬の褐色をよくしていた。


「まあ、同性の友達が出来たのは結構嬉しいかな。気を使わなくていいから楽だ」

「う、うちが友達だと。ふ、ふざけるな。人間に友達呼ばわりされるなんて一生の不覚っ。今すぐ下僕に訂正しろ!」


 ザウエルは両手を持ち上げ、子どものようにブンブンと振っている。


「私にそんな趣味は無いよ。私の趣味は『禁断の書』を書くことなの」


 私は自分で書いている『禁断の書』をザウエルに見せる。師匠からは誰にも見せてはならないと言っていたが、私は気にしない。


「き、禁断の書だと。キアスほどの魔法使いが禁断にするほどの魔法。ど、どんな魔法なんだ」


 ザウエルは生唾を飲みながら、私から『禁断の書』を受け取る。


「丁度、私が書いた『禁断の書』を呼んでくれそうな相手が欲しかったんだよ。ぜひ、率直な意見を聞かせてほしい」


 私は一人で師匠の高みに行くことは不可能だと悟った。そのため、力を貸してもらえる者がいないか考えた。丁度、使えそうな魔人の少女が暗殺に来てくれたので自分がどれほど成長したか調べる良い機会だと思ったのだ。


「な、なんだこれは。な、なにが書いてあるのか全然読めん」


 ザウエルは『禁断の書』を見た。だが、人族と魔族で使っている文字が違うのか、はたまた私の文字が汚すぎるのか、どちらにせよ『禁断の書』を読んでもらえなかった。

 私はザウエルに魔法を付与し、文字が読めるようにした。


「おお、読める読める。ライト、俺、もう我慢できねえ。フレイくん、ぼくも、もう我慢できないよ。鍛え抜かれた鋼の肉体を持つフレイと女のように華奢な体を持つライトは互いに熱い眼を見合わせ、ほどよく潤った唇を重ね……、って~、なにこれ!」


 ザウエルの顔が真っ赤になりながら叫ぶ。翼が広がり、体温調節でもしようとしているのか、バサバサと動かしまくっていた。


「私が書いた『禁断の書』だよ。どうかな、上手く書けてる?」

「う、上手く書けてるかどうか、うちにわかるわけないだろっ!」

「じゃあ、私の師匠の『禁断の書』を読んで勉強して」

「……勉強って」


 ザウエルは案外素直な子で、師匠が書いた『禁断の書』を読み漁った。師匠の作品を互いに語り合える者が欲しかった。彼女は、私の言うことを聞く下僕らしいので誰かに言いふらす心配がない。なら見せても問題ないだろう。


「ちょ、えぇ、そ、そうなっちゃうの。にゃぁぁ~っ!」


 ザウエルは『禁断の書』を読みながらベッドの上を転がり回っていた。


「駄目駄目そんなことしちゃ、えぇ~っ! し、しちゃうの。にゃぁあ~っ!」


 ザウエルはベッドの上で体をバタバタと動かしながら叫ぶ。やはり師匠の『禁断の書』は力が全然違った。


「も、もう読み終わっちゃった……」

「どうだった? やっぱり師匠の『禁断の書』は凄いでしょ」

「まさか、こんな書物があるとは。男同士があんなことやそんなことを。ま、まあ、よかった」


 ザウエルは視線を合わせず、小さな声で呟いた。だが、尻尾がうねうねと蠢いている。


「じゃあ、私が書いた『禁断の書』も読んで」

「まったく、魔族使いが荒いな……」


 ザウエルは律儀に私の言うことを聞き『禁断の書』を再度手に取った。そのまま、読み進めて行く。


 ――なんか、自分が書いた品が読まれているって新鮮だ。


「うーん、さっきのと比べたら面白くない」


 ザウエルは率直な意見を私に伝えてくる。バッサリ切り捨てられた気分。真面な攻撃を受けたのは、師匠以来だ。


「どこら辺が面白くない?」

「ライトとフレイって人の感情が良くわからない。全体的に流れが悪いから面白くないかな」

「なるほど。やっぱり読んでもらえると自分の欠点が良くわかる」

 その後、私の魔力を食べてお腹がいっぱいになったザウエルはベッドの上ですやすやと眠る。


「まあ、一人部屋も飽きてきたころだし、二人で眠るのも悪くないか」


 私はお風呂に入り、体を休める。歯を磨いて眠る準備を済ませたらザウエルの隣に寝ころんだ。ザウエルの体が抱き心地の良い大きさで、寝顔が可愛いので抱き枕に最適だ。

 警戒はするが、話し相手くらいになってくれたら助かるな。


 次の朝、私は数日前まで殺そうとしてきたザウエルの隣で眼を覚ます。彼女は間抜け面を曝し、涎を垂らしながら眠りこくっている。彼女の尻尾を持って強めに引っ張った。


「ひゃあっ!」


 ザウエルのハチミツのように甘く愛らしい声が響くと体が人型から羽根ペンに変わる。


「なにするんだ。元に戻せっ!」


 ザウエルは羽根ペンになった状態で私に捕まっていた。


「ザウエルちゃんはもう私の使い魔だから。これからいろいろとこき使わせてもらうよ」


 私は羽根ペンの持ち手を優しく撫でる。


「んあっ、や、やめろぉ~。こ、この体じゃ、どうあがいても動けないじゃないかぁ!」

「頭がトロトロになるまで攻められるのが大好きなザウエルちゃんにとっては嬉しいんじゃないの。声を我慢しないと多くの男に甘い声が聞かれちゃうからね」

「く、お、お前、悪魔だろ……」

「まぁ、『黒羽の悪魔』って言う異名があるくらいだからね。でも、ザウエルちゃんにとっては嬉しいんじゃないの~」


 私はコウモリのような翼の羽根ペンを下から上までそーっとなぞる。


「んんんんっ~! う、嬉しいわけあるかぁ。こ、こんなの拷問と同じだぁ!」

「じゃあ、布団の上にずっといたい? 選択肢をあげるよ」

「……い、行かせてください」


 ザウエルは喋る羽根ペンとして私の手持ちになった。


「よく言えました。じゃあ、行こうか」


 私は服を着替えてザウエルを制服の内側にしまう。

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