お花を植えよう
作者、忙しいけど書けた!
コケモドキを植えた翌日、目を覚ました私の目に飛び込んで来たのは、一面の緑。
緑、緑、緑。
コケモドキが、植えた部屋以外の通路の床のみならず、壁にまで繁茂していた。
ソイルスライムの土を撒いてもらったのは、部屋の床だけ。
なのに、恐ろしいほど成長、増殖している。
まさか、壁にまで生えるとは思わなかった。
肥料があると恐ろしく増えると説明に描いてあったけど、ほんの半日くらいでこんなに増えるとは。
確かに、植えてちょっとしてから、なんとなく広がってる様な気はしてたけども。
異世界のものだし、こんなもんなのかなと思ったけど。
それにしたってえげつない育ちの速さ。
この草、布団いらないくらいフカフカだよ。
ひとしきりコケモドキをモフり、床から起き上がる。
すると、横になっていた所だけがむき出しの土だった。
そのうちコケモドキが埋めてくれるだろうから放っておこう。
ダンジョン内部を意識してみると、1階の半分くらいにコケモドキは広がってるみたい。
このペースだと、2日もあれば2階層まで広がるかも。
いくらなんでも広がるのが早すぎる気がするけど、ぜんぜん増えないよりはいいか。
コケモドキがまだ生えてない場所では、アリさんが引き続き穴掘りを進めてくれている。
私もお仕事がんばるぞー!
*
さて、昨日はコケモドキを植えただけで終わりにしちゃったから、今日はお花を植えようと思う。
まず1つ目の部屋に、花がふんわり光る星屑草を植えよう。
部屋の壁際あたりに10株、なるべく自然な感じになるように配置する。
ゲームのハウジング機能みたいに、思った所に1株ずつ置いていけるからとても楽。
仮置きして、ウインドウの【配置を確定する】を押せばいいから、既に生えてるコケモドキを掘り返さなくても大丈夫。
植えたばかりの星屑草には既に花が付いていて、小さな星のような花がふわりと光っている。
コケモドキの緑が僅かに照らされて、いいアクセントになっている。
洞窟も中々いいかも。
うん、この調子でどんどんやっていこう!
2つ目の部屋にはクラッカーナッツを両脇に5株ずつ2列配置して、部屋の真ん中を収穫の動線にしよう。
その次の部屋にはミツイチゴを10株。
株と株の間は、少し空けて配置し、実を収穫する時にトゲがなるべく引っかからないようにしてみる。
最後に1階層の大部屋。
ここにはソラリスブルーム、エーテリアルの2種類を混植して大きめの花畑にするつもり。
エーテリアルのほうが草丈があるみたいなので、ソラリスブルームをエーテリアルよりも前の方に植える。
うーん…もう少し隙間を埋めたい。
ああでもないこうでもない…。
*
納得行くまでいじっていたら、エーテリアル、ソラリスブルームを30株ずつ植えてた。
ちょっと植えすぎたかも。
大部屋を見渡してみる。
エーテリアルの透き通るような白い花と、その手前に群生したソラリスブルームの黄昏の空を思わせる柔らかな橙色が広がる。
説明には光るとは書いていなかった。
でも薄暗い洞窟で、植えた2種類の花がほんのり光っている。
星屑草とはまた違って、とても綺麗だ。
あんまり綺麗だから、思わず見惚れてしまう。
これで、ようやくアリさんに蜜を集めてもらえる。
やっと、美味しいものが食べられるかもしれない。
蜜集め部隊のアリさんを追加で2体召喚した私は、そのまま花畑で寝落ちたのだった。
【残 824DP】