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黒いパンと目指すもの

作者、がんばってる!


めちゃくちゃお腹空いてるわ。

若干、気持ち悪くなるくらいの空腹感がある。

でも、ここには食べるようなものはない。

どうしたものか。



『あ、ちょっとオデコ貸してね。色んな説明を省くのに必要なんだ。ついでに君のお腹をいくらか満足させられると思うよ』


「はい?」



額にメルグの手が触れる。

その直後、耐え難いほどの頭痛が襲ってきた。

次から次へと脳裏に浮かんでは刻み込まれて行く、ダンジョンにまつわる知識や情報。

私はあまりの痛さに地面を転げまわる。



『ごめんね、痛いね。でも、君が生き残るのに必要だから、勘弁してね』

「わかったけど!!いててててててー!!!!」





5分ほどして、あれほどの頭痛が嘘のように引いて行った。情報のインストール的なものはこれで終わったらしい。

偉い目にあったし、余計にお腹空いた。


でも、このおかげで色々と理解できた。

一番の収穫は、ダンジョン運営の基礎的なことがわかったことだろうか。


まず、魔王は不老で、基本的に食事しなくても死なない。

食べることはできるけど、嗜好品扱い。

餓死はしないわけだ。


それからダンジョンを作るのに必要なものがあり、それはDP、ダンジョンポイントというらしい。

よくあるやつだね。


魔物の召喚、色んな設備や環境設定などなど、ポイントを使える項目は多岐にわたる。


でも、DPは限りあるものなのでよく考えて使わないといけない。

一般的な入手方法は、毎日手に入る自然発生ぶんのDPのほか、侵入者を倒して死体を吸収したり、侵入者に滞在してもらうことで獲得したりすることだ。


そして、だよ。

なんと、ショップ機能から食料品も買えるらしい。


さっそくショップ機能を呼び出してみると、

目の前に半透明のウインドウが出てきた。

そこに表示されていたもの、それは。



【パン DP 5】



手持ちのDPは1000。

とりあえず1つ召喚してみる。

ウインドウの召喚の部分に触れ、出てきた【はい】を迷わず押す。


すると、手のひらにコッペパンほどの大きさをした、黒っぽくてずっしりしたパンが出現した。



「あれ?なんか見たことないパンだ」



食事しなくてもいいとはいえ、お腹が空いているのだ。食べることは生きること!

ということで、一口齧ってみた。



「か…堅い…あとなんか…なんだろ…酸っぱい…?」



これ、私が知ってるパンじゃない。

堅くてモソモソしてて、なんか酸っぱい味がする。

正直、私の口にはあんまり合わない味だ。



『このパンは、この世界で一般的なものだね。品質はかなりいいと思うけど…もしかして口に合わない?』

「うん…ちょっと食べたことないパンだからびっくりしたかも…」

『まあ、食文化は多岐にわたるからね。口に合うものはきっと見つかるはずだよ』

「だといいなぁ…」



もったいないので、残りのパンはなんとか食べきった。とりあえず、お腹は膨れたので良しとしよう。


うーん…当面の目標は、いかにダンジョンで美味しいものを食べられるようになるか…かなあ。



『ダンジョンで美味しいものを食べようとする魔王、ボクは初めて見たよ』



だまらっしゃい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] キャラの会話文だけではなく、地の文も可愛らしい文章なのでまったりとした雰囲気が伝わってくる。 「」と『』をキャラの会話文で使い分けているので、文章が簡潔になっていてとても読みやすいです。…
2023/11/07 03:55 退会済み
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