迷宮について
作者、目指せとりあえず10話。
『どうしたの?』
いや、どうしたの?じゃないよ。
そりゃ驚くでしょ、急に何もないとこから現れて、
神様ですとか言われたら。
『それもそうか。ごめんね、ちょっと人前に出るのは久しぶりなものだから』
神様…メルグは少し反省したような顔で言う。
「とりあえず、質問させて。ここはどこ?」
『ここはね、迷宮だよ。ダンジョンとも言うね』
「なんか…ゲームみたい…?」
『君のいた世界にも似たようなものがあるのかな?どんなものか分かる?』
まあ、ファンタジーもののゲームとかによくあるやつだよね。
入るたび道が変わったり、アイテム拾ったりとか。
「うーん…魔物がいたり、宝物があったり、一番奥にボスが待ち構えてたりする…みたいな」
『そう!だいたい合ってる!君には素質があるのかも!』
メルグは嬉しそうにしている。
とりあえず、迷宮についてはわかったけど、なんで私がそこにいるのだろうか?
私はただの社会人だぞ。
「それで、私はなんでここにいるわけ?」
『それはね…』
やたらと深刻そうな顔をし始めたメルグ。
どんな理由なんだ…?
『この世界のバランスが、少し崩れちゃったからなんだ』
思っていたよりも深刻そうな感じだ。
どうにも、複雑な理由があるようだ。
『うん。この世界の魔力は迷宮を介して大地を循環しているんだ。でも、百年前に訪れた勇者によって、多くの迷宮が死んだ。それが原因でバランスが崩れ、天変地異が起こっている』
『他の神たちはその後、いくつも迷宮を創り魔王を生み出した。でも、勇者や冒険者がどんどん攻略してしまう。このままだと、本当に取り返しがつかなくなる』
『だから、死んじゃった君を転生させて、魔王になってもらったんだ。こちらの都合で勝手にしてしまって、ごめんなさい。そのかわり、体は前のものよりも強いものにしているよ』
メルグが頭を下げた。
私、やっぱり死んでたか。
死因は多分食あたりだと思う。
最後に食べたの、生牡蠣だもん。
『そう、君の死因は牡蠣の毒に当たったことみたいだよ』
やっぱりか。
でも美味しかったから良し。
突然でびっくりはしたけど、なかなかできない経験ができるし。
それはそれとして。
ぐきゅるるる〜〜〜!
「お腹がすいてたの、忘れてた」