② 現状の日本の「移民政策」 世界4位の移民大国
筆者:
さてここでは日本の現在の“移民政策”について見て行きたいと思います。
質問者:
え!? 今の日本の移民なんて存在するのですか? 聞いたことが無いですけど……。
筆者:
日本政府は正式に”移民“と認めているわけでは無いのですが、実質的な移民と言うのは存在します。
国連経済社会局「移民の定義」より抜粋させていただきます。
『国際移民の正式な法的定義はありませんが、多くの専門家は、移住の理由や法的地位に関係なく、定住国を変更した人々を国際移民とみなすことに同意しています。3カ月から12カ月間の移動を短期的または一時的移住、1年以上にわたる居住国の変更を長期的または恒久移住と呼んで区別するのが一般的です。』
とあります。
この定義だと2019年時点で世界第4位の移民者数を受け容れているという推算もあるようです。
つまり、今の日本は立派な“移民大国”と言えるのです。
ちなみに出入国在留管理庁 令和4年10月14日の発表によりますと
『令和4年6月末現在における中長期在留者数は266万9,267人、特別永住者数は29万2,702人で、これらを合わせた在留外国人数は296万1,969人となり、前年末(276万635人)に比べ、20万1,334人(7. 3%)増加しました。』
厚生労働省の令和5年1月27日発表によりますと、
『外国人労働者数は1,822,725人で、前年比95,504人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新
国籍別では、ベトナムが最も多く462,384人(外国人労働者数全体の25.4%)。次いで中国385,848人(同21.2%)、フィリピン 206,050 人(同11.3%)の順。』
とあります。
産業別構成比率でいきますと、卸売業・小売業18.6%、製造業17.7%、宿泊・飲食サービス業14.4%、建設業11.8%と上位3業種で約5割となっています。
これらの方々が全て「移民」の定義に当てはまるとも限りませんが、
2015年の時点では上記の同じ統計では90万人ほどでした。そのためにこの8年で2倍です。加速度的に外国人労働者が増えているのです。
質問者:
確かに昔よりかは外国人の方が増えたような印象は受けますが……。
どうして日本政府は正式に移民と認めていないのでしょうか?
筆者:
自民党の重要な支持基盤の一つである保守層に対しては「移民政策を実施します」というと支持から離れてしまうのです。
そのために、世界が一般的に言っている「移民」だとしても特定1号だの技術移転だの“言葉遊び”で騙すことによって保守層を離さないようにしているのです。
全くもって本質的には無意味なことだとは思いますが、残念ながら保守層はこの“言葉遊び”に騙されて投票を続けているのが実情です。
今のところ、日本政府が示す「移民」とは、国際基準とは全く異なり「国籍取得」を前提とするものなんです、在留期間を制限して、家族の帯同を基本的に認めない姿勢をとっています。
移民と日本政府としては正式に認めていないのですが、特定技能1号や2号などは「1年以上にわたる居住国の変更」と言って良いので、実質的には10年以上にわたり移民政策を行っているんですね。
質問者:
なるほど、そう言った事情があったのですね……。そういえば、特定2号とかいうものについてはこの間の閣議決定で内容が変わったそうなのですが、何がどう変わったんですか――というか、特定1号とか2号ってそもそも何なんですか?
筆者:
1号とか2号とか言うとロボットみたいなイメージですが全く違います。
質問者:
いや、ロボットとは思っていませんでしたが……。
筆者:
そうでしたか(笑)。
特定と言うのは特定技能の省略語です。
特定技能は簡単に申し上げますと、ある程度の日本語日常会話ができれば実務経験なしで1号は最長5年間、2号は資格合格で無期限の在留資格が与えられる制度です。
日本人では賄えなくなった労働力を補充するために生まれた在留資格と言えます。
これまでは家族帯同を認める特定2号は2分野(建設と造船・船用工業)で通算11人しか認めてこられませんでした。
しかし、23年6月9日の閣議決定で熟練した技能を有する外国人労働者が取得できる在留資格「特定技能2号」を現在の2分野から11分野(ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食業を追加)へ拡大しました。
特定2号を取得すれば無期限就労が可能になる上、家族の帯同も認められます。
そして永住も取りやすく改正したようです。(この閣議決定は難民申請を2回までとしたのは良いがそれ以外はダメ)。
この特定2号が何万人単位となったらもう完全に移民と言って良いでしょう。
そういう状況になっても“言葉遊び”で言い逃れしそうですけどね(笑)。
※23年9月12日国土交通省は、さらにタクシーやバス、トラックの運転手が不足していることから、外国人労働者の受け入れを認める在留資格「特定技能」の対象に「自動車運送業」を今年度内に追加する方向で検討に入りました。
質問者:
確かに永住権まで大量に認めてしまえば、国籍取得ではないにしろそれは移民と言っても良いですよね……
筆者:
更にこれだけにとどまりません。
NHKの8月4日『政府 外国人の子どもに在留資格付与へ 国内での滞在認める』と言う記事では
『政府は、日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子どもについて、親に国内での重大な犯罪歴がないなど一定の条件を満たせば「在留特別許可」を与え、滞在を認めることになりました。
入管法の改正で難民認定を申請中の外国人でも3回目の申請以降は強制送還の可能性があることから、日本で生まれ育った子どもが親とともに送還されないような対応が必要だという指摘が出ていました。
出入国在留管理庁などによりますと、こうした在留資格のない18歳未満の子どもは全国におよそ200人いるということです。』
とあります。恐らくはこの200人の在留資格のない子供たちは随時在留資格が認められ、ついでに親も”子育てをしたい! 子供と引き離すだなんて人権侵害だ!“と言った理由から在留資格が認められるでしょう。
質問者:
重大な犯罪歴が無ければいいと言いますけど、親には在留資格が無いから子供に在留資格が無いんですよね? そんな人達を大量に認めてしまったら大変なことになりそうですよね……。
筆者:
更には生活保護を受けるなどまともに働かない可能性もありますよね。
また、同性愛者のウガンダ国籍の女性 難民認定を命じた判決が23年3月30日に確定と、「LGBT理解増進法案」より前に判決が出ています。
今後は、「LGBT難民」と称して日本に来て難民申請をしている間に子供が産まれます。上の子供の在留資格を認めた一件と合わせ技で、それで実際は難民でなくても子や親の在留を認めるという最悪コンボが見えてきます。
質問者:
「LGBTを理由に迫害された方」も難民になる可能性があるのですね……。
そして、こんな感じで日本は外国人の移民を次々と受け容れてしまっているのですね……。
筆者:
まだ実例は出ていませんがLGBT法案は色々な形で悪用がされてしまう可能性があるので本当に悪法だなと改めて思いますね。
特に性自認は見た目から全くわからないので、過去のエッセイでも触れましたが権利を認めるのは非常に危険なのです。
質問者:
でも、世界では外国人の移民を認めていますよね。かなり比率が高い国も存在するのですが、それらの国はどうやっているのでしょうか?
筆者:
次の項目では、移民の比率が高い国々の実情について見て行こうと思います。