メガネ拭きコンツェルト
久しぶり
どこかの祠に置いてある一つのちゃんこ鍋からひとつの命が生まれた。
その命はとても小さく、出し汁が染み込んでいなかった。そんな彼を拾った男はその命にアドと名付けた。アドの親となった八咫烏権介(32歳)は今、行方不明だ。
そして15年後、2022年山梨県、八咫烏アドはカードショップおちゃんこのオーナーをしていた。
「マナだよなぁ潰してぇのは。」「ジャンドのシンクロ気持ち良すぎだろ!」「ボチヤミサンタイ」「わたし、灰流うらら!」「ポコルルを、パコルル」カードショップには賑やかだ、シャークトレードをする者や転売ヤーなど、マナーの悪いプレイヤーが来店することはあったがその仕事を生き甲斐としていた。
「ミラバトって、まだ取り扱ってますか?」!?!?!?
まだそんなもの集めている人が居たのか、と驚く。女児向け人形と話ながらボックス買いしてくる狂人が来店したときくらいだ。
「......あるよ。」世間には流通していないミラバトの新弾がここにはある、本来なら2015年にとっくに生産は終了している。アニメONE PIECEでいえばドレスローザ編。だがしかしこれには百獣のカイドウやユーハバッハ、太筒木イッシキなど最新のキャラや当時連載されていなかった呪術廻戦やチェンソーマンのキャラもいる。まさかこれを求める人がいるとは。正真正銘B社から開発されているものだ。
「ここに"ミラバト"があると聞いたが。」怪しい謎の黒服の男たちが5人ほどが来る、明らかに普通の客の姿ではない。「もう嗅ぎつけたか、来い。」ミラバト購入男の手を引っ張り店の中を出る。「逃すな!追え!!!」
ぼくの名前は赤永・ザ・カンフーマン。26歳。髪の色 ゲーミング。瞳の色 #808080(カラーコード) 。職業 扇風機職人。・・・兼 運転代行!!なぜこんな状況かというと......ミラバトを買いにきた、それだけだ。そして今自己紹介しているうちに壁まで追い詰められた。
「もう逃げ場はねぇぞ......大人しくミラバトをこちらに渡してもらおうか!」
「仕方がない、ちゃんこ鍋!オープンアーーーップ!!!」
キュルルルルルル 空間が形成される、だがそこは
ラーメン屋の裏方だった。
「こっちだ!」
ラーメンのスープにアドは赤永を引っ張る、そう、スープは亜空間になっていたのだ。スープの中を流れ移動している彼は喋る
「カード買いにきただけなのに追いかけられるし、ラーメンの中に入るし、なんなんだよ!!!だいたい掛け声のちゃんこ鍋はどうしたんだよ!ラーメンじゃねえか!」
「おれの名前は八咫烏アド、父さんがadoのファンでね、名前はそこからきている。君は?」
「赤永・ザ・カンフーマン!大阪府民と徳島県民のハーフだ!」
「どうりで変わった名前をしているわけだ。」
亜空間から出るとそこは、白米が住む世界だった、そう、つまり黒服の男たちはレモンティーが好きだったのだ。
そしてその世界はただ通り過ぎただけで本当の到着場所は祠、八咫烏アドが拾われた地だった。
「思い出した、俺の名前の由来はadoから来ていたこと、父さんは【ビビを救いにアラバスタに行ってる!】と鳥取砂丘に行ったこと、そして」
ー洗濯物を取り込んでないことー
俺は全て忘れていたんだ!!!今日この時まで!!
黒服の男が1人やってくる、まだ追ってくるのかと身構えるアドと赤永はサングラスだけでなく服も脱ぎ出した黒服男を見て驚く。
「思い出したか、そう、お前の父親、いや、俺がいもしないクロコダイルを倒すために鳥取砂丘に行っていたことを。」
「父、さん......」
「帰ろう、またみんなで過ごそう、そしてみんなでミラバトを遊ぼう。」
「父さぁぁぁぁぁぁん!!!!」
今までクールだったアドは大きな声を出して泣き、父に抱きついた。
「すまなかった、政府に追われていた俺はミラバトを消去するためにお前らを!」
「いいんだ、いいんだ父さん!!!」
「すまなかったな赤永、代金はいらない。受け取ってくれ。」
アドはミラバトを渡す。
ボックスにはギア5のルフィや身勝手の極意の悟空その他諸々が描かれていた。
「いや、俺が買いにきたのは今日リリースされる新しいTCG、ミクロランドバトンルル、略してミラバトなんだが......。」
赤永のメガネには少し、ちゃんこ鍋の湯気で曇っていた。