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ヒロインが攻略対象を刺殺させておいて書き手の方が若干凹み気味です(´;ω;`)

 ヒロインが攻略対象をナイフで刺した事件。


 私は父の口からことの顛末を知ることとなった。


 ラファエロは帰らぬ人となったらしい。彼は病院に搬送されて間もなく出血多量で命を落としたそうだ。彼の死は客観的に見れば色恋沙汰の絡れが原因だ。


 つまり一国の王族が恋愛スキャンダルで命を落としたと言う事になる。


 その事実は国王陛下としては公表出来る筈もなく、ラファエロは国葬すら上げて貰えなかった。彼は王族では無く、一人の人間としてその最期を処理されてしまった。



 闘技場にいた関係者には緘口令が敷かれて徹底的に事実を隠蔽された。



 加害者となったラザニアちゃんも忽然と姿を消して、その後どうなったかは分からなかった。彼女は騎士団に拘束されたからもしかしたら罪人として処刑されたのかも知れない。



 そう考えると私は自分が許せなかった。



 彼女をあそこまで追い詰めたのは自分自身、それを隠す気はない。だけど事件は緘口令を敷かれているため彼女の名誉を挽回するチャンスも奪われてしまった。


 最悪の気分だ。


 今は貴族学校を卒業して実家の屋敷で悶々とした日々を送る毎日。時折、学校の旧友たちが邸に訪れてが私を励ましてくれる。



 違う、そうじゃない。


 私は自分を責めて欲しいのだ。



 だけどそれすらも口に出来ない。もどかしい毎日の中で私の心にかかったモヤは更に雁字搦めになっていく。


 そんなある日の事だ。


 今日はクミンが私の屋敷に顔を出してくれた。


 私と親友だった彼女は気遣いと言うよりも本音を持って接してくれる。だからだろうか、彼女は私の事を理解してくれてお土産にまさかの情報を持参してくれたのだ。


 私が彼女を自室に通すと何の前振りもなく用事を口にした。



「ローズマリー様、ラザニア嬢の行方が判明しました」

「どう言う事ですか? どうしてクミンがそれを……」

「私の婚約者が誰かお忘れですか?」

「あ……」



 情けない声を漏らしてしまった。


 そうだった、クミンは第二王子の婚約者だった事をすっかり忘れていた。


 クミンは腑抜けた私を見て呆れてため息をこぼす。彼女は何も言わずに一枚の紙を差し出して「詳細はこれに」とだけ付け足した。


 うーん、正直な話、情報はとても有り難い。


 だけどこれを受け取って今の私に何をしろと言うのか。そう考えて悩んでいるとクミンは先ほどよりも大きめのため息をこぼしながら目付きを強めて私を睨んでいた。


 いや、睨んでいるのではないな。これは目で語っているのだろう、単純に「会ってから考えろ」と言いたいのだろう。



 親友の態度を心で理解して私は静かに紙を受け取った。



「ローズマリー様、ハッキリと言って私もラザニア嬢の成長は想像を絶するものでした。それはあのトーナメントで負けてこの身を持って思い知りました」

「勝てば官軍、そう言いたげな闘い方でしたね」

「言い得て妙ですが、まさにその通り。貴女の言う通り彼女は負けて賊軍となったのです。それはローズマリー様が望んでいた事そのものだったと思います」

「……官軍となった私がビクビクするな、と言いたいのですね?」

「少なくとも私はそう願います。ローズマリー様は私のライバルなのですから」

「……肝に銘じましょう」



 彼女に二度目となる戒めの言葉を口にすると、自室のドアが外から開かれていく。おそらく部屋の外でクミンの話が終わるのを待っていたのだろう。


 パーカーが毎度の如く「うっす」と何時もと変わらぬ挨拶と共に入室を果たす。


 クミンはパーカーの顔を確認するなり彼の肩にポンと手を置いて出て行こうとした。この二人の様子から察するに完全に図っていたな。



 だけど悪い気分にはならない。


 それだけ二人が私の事を心配してくれたのだから。


 そして同時に申し訳ない気持ちにもなる。



 長い付き合いの筈の二人がこれだけ下準備をしないと今の私が動かないと想っていたのだろう。それは概ね正しいと思う。


 今の私はラザニアちゃんと顔を付き合わす事を恐れている。


 彼女の人生をここまで狂わせると思わず、彼女に重荷を背負わせた自分が憎かったから。だけどいざ居場所が分かってしまえば行かない理由もない。



 パーカーは私の考えを先読みしたかの如くそんな私をエスコートしてくれた。彼もだいぶスマートな振る舞いが板に付いてきたと少しだけ寂しさを感じてしまう。



 彼は出会った頃と随分と変わったから。



 二人っきりの時は未だ粗暴さを覗かせながらも、人前ではこうやって貴族らしい振り舞をできる様になったのだから。それでも私に対する優しさと忠誠心は変わらぬままで、今も屈託のない笑みを私に向けてくれるのだから。



「お嬢、屋敷の外に馬車を準備してるんで。荷物もメイドさん方に頼んでまとめて貰ったから何時でも行けますぜ」

「その口ぶりだと相当遠方に向かうの?」

「そうっすね、何しろ国外っすから」

「まさか……ラザニアは……」

「へい、家族共々国外追放されたとの事です」

「そう……。では会いに行きましょう、今度は旧学友として。二度とバナナの皮に踊らされないためにも」



 パーカーは父へも事前に了承を得ていてくれたらしく、私はすんなりと国外に向かうことが出来た。パーカーはイケメンで剣の腕も立つ、だが今は何でもソツなくこなす優秀な人物へと成長してくれた。


 昔と変わらぬものは私との歳の差と屈託な笑顔くらい。


 私はパーカーから差し出されて手を取ってラザニアちゃんの元へ向かう事になった。

お読み頂いてありがとうございますm(_ _)m


また続きを読んでみたいと思って頂けたら嬉しいです。ブクマや評価ポイントなどを頂けたら執筆の糧となりますので、もし宜しければお願いいたします。

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