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魔法学園の生徒と師匠の旅  作者: もちきんちゃく
第一章
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弟子の疑問と師匠の答え

「師匠って何時もその真っ黒な服ですけど、他の服を着ようと思わないんですか?」

ふと、ランは思った事を聞いてみた、過去にも聞いたことがあるような気がするが

定期的に聞きたくなる疑問だった。


レイは基本黒い色のローブのような長い裾の服を着ている。ハイネックで長袖、太もものあたりからばっさりスリットが入っている。


「お前はその質問を定期的に投げてくるが、そんなに私の服装が不満なのか?」

レイは自分の服装を見てからランに問いかけた


「別に不満じゃないですよ?でも学園でも他の先生は結構自由な服装なのになーって」


街を出てから数時間、休みながら歩き続けている。最初の街で馬車でもと思ったが、丁度定期便はでた後だったので歩くことにしたのだ。

馬車も通る道なので比較的綺麗な道で歩きやすい。時々馬に乗って荷物を運ぶ人や、徒歩で歩いてる人もいる。

日はまだ高い所にあるが、道の両側には木があるため、木陰にはいると涼しく休める。


「じゃあお前は私が白のフリル付きワンピースで授業にでてきたらどう思うんだ」

「熱でもあるのかなと思います!!」

即答で答えるラン、答えてからアッと小声をあげた


「……」

ジッ…と重いレイからの視線を受けるラン。条件反射とはいえうっかり口に出た言葉だった。


「い、いやでも、師匠って美人でしょ?他のクラスメイトに聞かれることもあるんだよ!休日のお洋服は違ったりするんですの~?とかなんとか」

誰かの真似だろうか、オーバーにオホホと頬に手を当てて話す。


「この色だと汚れが目立たない。この形はよく販売されている形のローブだから購入が簡単だ。首元を見せるのは好まない。これは動きやすいからだ」

と、スリットをペラリと摘んで自分の服装の理由をレイが言い、この話は終わりだと言うように前を向く


特に続ける話題もなく歩き続けた、元々レイはお喋りなタイプじゃないのはランも承知だった。

この会話の無い時間も慣れてしまえば別に苦ではない。

それから暫く歩くと小さな街についた。時間はそろそろ夕刻、家に明かりが灯り各々家路を急いでいる。

「今日はここまでだな、宿を取る。ついでに次の馬車が何時来るか聞くとしよう。」

「はーい、ボクお腹すいたぁー」


休みながらとはいえ結構な距離を歩いたラン。元気が取り柄と言っても歩き続けるのは大変だ。

レイはさっそく宿屋を探し部屋を取った。

「食事は1階で食べて下さいね。鍵はこちらです。」

と、手渡された鍵を受け取るレイ、ランの方を見て

「先に食事が良いだろう?」

と、確認を取ると、ランは頷いて手を上げた

「はい!」

二人は先に食事を食べる事にした。


二人はテーブルにつき、各々食べたいものをメニューから選び注文をした。

ランはお子様セットを選択、レイに白い目で見られたのは言うまでもない、しかしランは

「こういう所じゃないと食べれないし!!」

と強気に自分が選んだ注文の正当性をレイに示した。レイにはサラダとパンが運ばれてきた。

ランは自分の口に可愛く形作られたソーセージをパクリ。この素朴さがたまらない。


「ししょーって野菜しか食べないよね?」

黙々と野菜を食べるレイにランは言った。レイは一旦手を止め

「別に肉類が食べれないわけではない、ただ好んで野菜を食べているだけだ。」

「でもボク師匠がお肉食べてるの見たこと無いよ?」


レイは顎に手を当て、頭の中で過去を振り返っているようだ。過去の出来事が頭をよぎった、

だがその光景を静かにしまうように目を閉じた。

「そうだな、ランの前ではそうだったかもしれない。別に好き嫌いで食べないわけじゃない」

食事を再開しはじめたレイを見ながらランも同じように美味しいソーセージの2本目を口にいれた。


「ボクが好き嫌い無いのって師匠に似たのかなぁ?」

もぐもぐ口を動かしながらそっと呟いてみた。

「好き嫌いだけじゃなく、他の部分でも似てほしい所はいくらでもあるんだが?」

「ぐぬぅ!」

レイからの少々嫌味なツッコミを受け止め、それを美味しいスープで流し込んだラン。

二人はその後も他愛もない話を交えつつ食事を終えた。


二人は部屋に入り明日の準備をしていた。

「師匠ボクどこに行くのか知らないんだけど、最初はどこを目指してるの?」

ランはベッドに腰掛け足をぷらぷらと揺らしながらレイに質問をした。


レイは取り出した手帳に何やら書いている様子、書く手を止めずにそのままランに答える

「まずはこの地方にある風の神殿に向かう、メラルドが話をつけておくと言っていたからな。順調に事が運ぶだろう。」

「メラルド学園長は風の精霊と契約してるんだもんね。」

「あぁ、今の風の神殿にいる巫女はメラルドが契約した当時と同じ巫女だそうだ。」

手帳を書き終えたレイは自分の魔法具の中に手帳を滑り込ませる。


魔法具は色々な用途があるが、レイが使ったのは手荷物を収納する比較的手に入りやすい物だ

ただ幾らでも入るわけではなく、魔法具の等級によって収納できる容量が違う。

ランが使っているのは魔法学園で全員に支給されている魔法具で容量は背中に背負うカバンくらいの大きさだ、レイの持っているのは個人の持ち物なので等級が高く入る容量も多い。


「そろそろ寝たほうが良い、疲れただろう」

「ふあぁ…い…おやすみなさーい」

もぞもぞと毛布に包まるラン、数分後に寝息が聞こえ始めた。


レイはランが眠ったのを確認すると小声で

「ディー、この部屋に結界を。」

と、誰かを呼ぶとレイの背後からスッと名を呼ばれた者が姿を現した

「心配性ね・・・そんな事しなくても大丈夫だと思うけど。」


ふわりふわりとレイの周りを浮遊するのはレイが契約している水の精霊、人の姿をし、半透明だ

以前レイが自室で語りかけていたのはこの精霊だった。

「ここは学園とは違う、用心するべきだ。」

「はーい、お手伝いしまぁす」

レイとディーは向かい合わせになり手を重ねる。初めにレイが


「この場は囲い、雛を守る領域・・・零れ出る魔力は全て雛に還る。」

「雛は守られ、我らの力で優しく包む、健やかな眠りを願いましょう。」


レイに続いてディーが唱えると二人を中心に静かに優しい風がふわり、波紋が部屋の四方に落ちた。


「はい、オシマイ。これで我らが可愛いお姫様は朝までぐっすりです」

ディーはレイを背中から抱きしめるような格好をする

「心配性なレイ、貴女が側にいる限りこの子は大丈夫よ。」

「あぁそれは揺るがない、だが万が一という事もある。」

ディーはしょうがない人ねと苦笑しながら音もなく消えた、レイは眠るランを見下ろし暫くその寝顔を見つめていた。

レイ・アルベルト【ランの師匠、主に野菜を食べる】

ラン・メリール【レイの弟子、お子様ランチに変な夢がある】

ディー【レイの契約精霊、水属性、おちゃめ】


読んでいただけて感謝です。

面白かった、続きが気になるとか思っていたけたら

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心の中でサンバを踊りながら喜びます。


マイペース更新ですがよろしくお願いいたします。

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