師匠の思惑
夜遅く皆が寝静まった時間、自室で物思いに耽るレイ、夜を明るく、静かに見守る月を見ながら
「どう思う?」
と、問いかける。自室にはレイの他に人の気配はない
「う~んそうね~レイの考えてる方法で良いと思うわよ、でも中々骨が折れる方法よね」
レイの背後から声がするが、後ろを特に振り返る事もなくレイは話を続ける
「私一人では無いからな・・・適度な休憩、順路、速度・・・」
「10歳の女の子よ?まぁあれであの子も逞しい方だとは思うけど~」
「元々予定にはあったんだ、だがランが思ったより力の伸びが悪い・・・」
手近にあったペンを手に取り、手持ち無沙汰なのかレイはクルクルとペンを回す
「まぁ聖地巡礼みたいなものだし、気負いすぎるのもね?」
気遣いながらも背中を押すように言うレイの話し相手。
「まぁ・・・短期間なら問題ないか・・・明日メラルドから許可をもらうことにするか・・・」
後ろの気配がパッと明るくなったような気がした
夜が明けてメラルドの部屋を尋ねるレイ
「許可を貰いに来た。」
「あのねぇ、先に何の許可を貰いに来たか言いなさいよ・・・レイは本当に一言二言三言くらい足りないんだから!」
身支度をすませたメラルドは朝食をとっていた。自分の前の椅子をレイに勧め、カップに飲み物を注いだ
「で、許可って何の?ランの事なんでしょうけど。」
「あぁ、許可というのが・・・」
昼食を取り終わったランとリィンは午後からの自由時間を何して過ごすか話をしていた
「私は図書館で本を読もうかな・・・この間授業でわからない所があって調べ物もしたいし・・・」
と、自由時間も自分の身になる事をやろうとしているリィンに向かって
「リィンちゃん本当に勉強家だね・・・ボクは部屋に戻ってお昼寝でもしよっかなー」
と、自分の欲望に忠実な予定を考えていると、半透明で淡い緑色した蝶がふわりとランの目の前に飛んできた。
「あれ、これは・・・」
ランが指を出すと、蝶はふわりとランの指に止まると同時に小さく音を立てて弾けた
(ラン・メリール、学園長室に来て、話があるの)
頭の中に聞こえてくる声はもうひとりの親代わり、ここの学園長のメラルドのものだった。
蝶はメラルドが使う連絡用魔法で対象の指に止まると発動し、その内容は対象者にしか聞こえない。
「あ、ボクちょっと呼ばれたから行ってくるね!また部屋で!」
ランは立ち上がると少し慌ただしくその場を去っていく。
「えっ!ランちゃん!?誰に呼ばれて・・・ってもう見えないところまで・・・」
既に後ろ姿が見えない距離まで走り去っていったランを呆然と見送るリィンだった
登場人物
レイ・アルベルト【魔法学園教師、ランの師匠】
メラルド・リーブル【魔法学園長】
ラン・メリール【魔法学園生徒、レイの弟子】
リィン【魔法学園生徒、ランのルームメイト】
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