魔法学園の生活(授業)
ボクはラン・メリール、魔法学園の精霊魔法科初等部。今年で10歳!
毎朝ボクの幸せな時間を強制的に現実に戻してくれるのは
ボクのお師匠様、レイ・アルベルト、この学園の先生で、ボクの親代わりの人
魔法の事ならなんでもできて、他の子から弟子なのを羨ましがられる
ちょっと自慢のお師匠様!でも厳しいし、時々しか優しくないし・・・
朝叩き起こされるし、皆もっと現実を見るべきだと思う!
そんな抗議めいた事を弟子が思っているのを知ってか知らずか、
レイは生徒たちの前に立ち、パンパンッと手を叩いて注目を集める
「今日の授業は精霊魔法の基本をもう一度確認する、
各元素の力を集め、対象に向かって放つ魔法だ」
生徒たちを見回し、1人の生徒に目線を送り声をかける
「今回はまず火の元素だ、そうだなリィン、君は確か炎の精霊と相性が良かったな
すまないが皆に手本を見せてくれ」
ランの同室のリィンは手本を求められ、一瞬戸惑う様子だったが
遠慮がちに的になる魔法具の前に立つ
「火の精霊よ、その力を私にお貸しください・・・。」
ぽっぽっと小さい火がリィンの周りに現れる、その小さい火が集まり
徐々に大きく炎に変化していく、リィンはゆっくり目を開き
「ファイアーボール!」
目の前に集まった炎を打ち出すように手を前に出すと
その炎は少し離れた魔道具に向かって飛んでいく
魔道具に炎が接触すると魔導式が展開され、炎は吸収されていった
「手本として素晴らしい、リィン有難う」
レイがパチパチと感謝も込めて拍手すると、クラスメイトからも同じように拍手が上がった
「精霊は願えば力を貸してくれる、だがその時に邪魔な思考が入ると
時にはその力が過度に働き、暴発する場合もある、集中力と精霊への感謝を忘れてはならない」
精霊魔法には基本詠唱が必要で、精霊に語りかけ、願い、力を貸してもらうのが
基本的な精霊魔法のルールだ、精霊魔法には相性がある分
適正な相性だと力も借りやすいし、扱うのが楽だ
逆に相性が悪いと力を借りれない場合もある。
逆に魔導は自分の中にあるマナを使いそれを元素に還元し扱う
自分のマナを使うので相性は必要ない、魔導は鍛錬を積めば積むほど
扱える元素の濃度、威力が変わってくるので
自分の目的に合った元素を限定し鍛錬を積むのが一般的である
精霊魔法も魔導も規格外な使い手というものはいるが、それはまた別の話である
各自魔道具の前に立ち魔法の練習を始める、最初は魔道具に向けて練習をし
元素を扱う感覚を覚える、意識の集中の仕方、力加減やコントロールなどだ
レイが担当する授業は基本的に実践的な事を担当する授業が多い
精神面や知識等のいわゆる座学はまた別の先生が担当している
魔道具を相手に練習した後は得意属性を考え相手に魔法を撃ち
相手の魔法を自分の元素で受け止める練習をする。精霊魔法でも魔術でも
力と力がぶつかり合う場合、より強いほうが勝つのは当然だが
同じ威力がぶつかりあうと、それは相殺され魔法同士はかき消される
その応用で相手から攻撃を受けた際、相殺や威力調整ができると回避や防御に役立ち
場合によっては打ち返すことも可能になる、初等部ではなかなか会得できるものではないが
初期の頃からその感覚を覚えるのは無駄にはならない。
レイは生徒たちを巡回し始める、魔道具まで勢いがたりず届かない者
そもそも精霊に力を借りるのに時間がかかる者、魔法を練り上げても打ち出せない者
初等部らしい様々な様子が見て取れる。そしてレイは自分の弟子に視線を向ける
「むぅ~・・・・・・!!!」
眉間にシワを寄せて手を前にだし必死に魔法を練り上げようとするラン
しかし時折ボフッ、バフンッと火花のような物が出ては消え、出ては消え
火は練り上げられることもなく消えていく
「火の精霊さんお願い!お願いします!!ぐーー!」
自分の弟子に近寄るとレイはランに
「ラン、お前には精霊に語りかける力が足りない、大体なんだその言葉は
もっと敬意を払え、お使いを頼むんじゃないんだぞ。」
「うっ!だ、大体!師匠は詠唱無しで出せるじゃないですか!」
「魔法を扱い始めた初等部のお前と私とどれだけの差があると思っているんだ・・・
阿呆かお前は・・・」
レイは詠唱無しで精霊魔法を使うことが出来る、場合によれば魔術も使えるが
得意は精霊魔法だ。自分の弟子の生温い考えを叱責しつつも、レイは思う
(まぁ、ランの場合、今の状態では簡単に扱えるはずも無い・・・か。)
登場人物
レイ・アルベルト【魔法学園教師、ランの師匠】
ラン・メリール【魔法学園生徒、レイの弟子】
リィン【魔法学園生徒、ランのルームメイト】
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