これは物語の始まり些細な日常
広い廊下を靴音を立てて歩く、天窓から青い空が見え、朝の光が廊下を照らす
ここは魔法学園の学生寮、二人一部屋が割り当てられ
生活に必要な物は揃っていて、比較的快適に過ごせる寮だ
時間は丁度起床時間、各部屋から微かに生徒の声が聞こえ始めていた。
ぽかぽか朝日が部屋の中を照らしている、柔らかな毛布と暖かな温もり
この至福の領域から、現実へと這い出す根性がある人はどれだけいるだろうか
「ねぇランちゃん、起床時間だよ!ランちゃんってば!」
同室のルームメイトであり、クラスメイトでもある子の声がする
肩を優しくゆさゆさと揺さぶられる、しかしこの優しい起こし方では
この至福の領域から出られるわけがなかった
「もうちょっと・・・もうちょっとだから~・・・むにぃ・・・」
もごもごと口を動かし暖かい毛布に顔をうずめながら拒否の姿勢を示した
「ランちゃん、早く起きないとまた・・・」
再度優しく声をかける友人の言葉を遮るように勢いよく部屋のドアが開く
カツカツと靴音を鳴らしながら部屋に入ってきたのは女性
色は黄、光があたりキラキラと輝く、腰まである長い髪をなびかせながら
颯爽と部屋の中に入ってきた、一直線にまだ眠りこけているランのベッド横に立つと
「ラン、ラン・メリール、起床時間は過ぎている早く起きろ」
腕組をし見下ろす形でランに声をかける、その女性にルームメイトは声をかけた
「あ・・・アルベルト先生おはようございます。すみません・・・
今日もランちゃんは・・・」
と、少し申し訳無さそうに女性を見つめた
「あぁリィン、君は何時も時間厳守で素晴らしいな、毎日ランが迷惑をかける」
柔らかく微笑みかけた女性はレイ・アルベルトこの学校に在籍する教師の1人だ
微笑みかけられたリィンは頬を少し紅く染める
未だに起きる気配がないランにレイはため息一つをこぼし、
ランを包み込んでいる毛布を手に掴み勢いよく引き剥がした!
「ぎゃんむぅっ!」
べちゃ!と音が聞こえたような気がする勢いでベッド下に落ちたランに
レイは毎日のように言っているセリフを言う
「ランお前は何時になったら一人で起きれるんだ?」
鼻の頭を撫でながらランは唐突に現実に戻されたのを恨めしく思いつつ
自分を毎朝のように起こしに来る自分の師匠へ口をひらく
「うー・・・ししょぉ~もう少し優しく起こしてくれたらいいのに・・・」
「毎日私に叩き起こされる前に優しくリィンが起こしてるだろう?
だがお前は起きようとしない。」
後は言わずとも、という雰囲気でランに告げる
「さっさと支度をしろ、授業に遅れるような事があれば・・・」
部屋の外へと歩き始めたレイはスッとランを射殺すような視線を向けた
「わ、わかってます!!すぐに準備します!!」
これ以上師匠の機嫌を損ねまいと慌てて支度を始めるランであった
こんな朝を毎日、ある意味平和に過ごしていた。
登場人物
レイ・アルベルト【魔法学園教師、ランの師匠】
ラン・メリール【魔法学園生徒、レイの弟子】
リィン【魔法学園生徒、ランのルームメイト】
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