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【第一章】7 思わぬ増援

よろしくお願いいたします。

声のした方を見ると、一人の一年生と思われる人物がいた。それは、入学式の日に一年生の気持ちを代弁するかのように質問をしてくれた生徒だった。

「まだ戦えます。わたしにも戦わせてください。」

全身は己の血で染まり、足はガクガクと震えていた。立っているのもやっとなのだろう。傍らの人物の肩に手をまわしやっとのことで体重を支えているように見える。そんな彼女の周りには水の塊が浮かんでいた。先ほどの炎を打ち消したのはどうやらコレらしい。

「あれ、愛保じゃん!」

千晴が水の魔法を操る少女を支えている人物に駆け寄った。

「あ、お姉ちゃん!」

口を開いた少女はワインレッドの髪を二つに分けて下のほうで結んでいた。よく見ると千晴とも似ている。

「あなたたち、所属と名前は?」

「魔法部隊に配属となります。宮月あかねです。水魔法が得意です。」

「武装部隊に配属になります!千晴の妹の星塚愛保です!」

聖良は少し考え、再び口を開く。

「この戦況からして、あかねさんと千晴の協力が不可欠ね。あかねさん、いきなりで申し訳ないのだけれど、手伝ってもらえる?」

「もちろんです。力のかぎり戦います。」

あかねは大怪我をしているにも関わらず立ち上がってくれたのだ。今この瞬間にもあかねの傷口からは血が滴っている。早く決着をつけなければこの子が危ない、聖良はそう判断した。

「翼紗、あかねさんのサポートを頼むわね」

「分かった。宮月さん、私が精いっぱいサポートするから、頑張ろう」

翼紗はそっと手を差し出した。

「あかねでいいよ。こちらこそ迷惑かけるけどお願いね。」

あかねは愛保の肩から手を離し、差し出された手を握り返す。

「私に体重預けてくれていいからね」

「ありがとう。」

あかねは翼紗の肩に手をまわした。

「ごめん!翼紗のほうに行った!」

典花の声にあかねが即座に反応する。あかねの意志に応えるようにそれまで周囲に浮かんでいた大きな水の塊がバッと分散した。

「清らかなる水よ。」

あかねの詠唱に合わせ、小さく分散した水の塊が火の玉を覆うようにして消していく。だが、新しく炎の攻撃が飛んでくる。あきらかに攻撃スピードが上昇していた。

「我に集いし水たちよ。大地を濡らす雨となれ。」

それまで浮遊していた水の塊が離散して見えなくなったかと思うと、大量の水が雨のように降り注ぎ、炎はあっという間に消滅した。

だが。

「あかね!?」

翼紗の肩を借りていたあかねの体がグラリと大きく揺れた。

「…ごめんなさい。これ以上はダメかも…。」

「ううん、すごく助かったよ、ありがとう。ここからは私に任せて」

あかねをゆっくりと床に座らせ、改めて悪魔に向き直る。

「(おそらく千晴の力によって本来以上の魔力が扱えるようになっている。これなら上級魔法を何度か使えるかもしれない)」

そして大きく深呼吸をした。なんとか奮闘する典花の姿が目に映る。ここは自分がみんなを助ける場面だと翼紗は自分に言い聞かせた。

「大気よ、我に力を!」

突き出された翼紗の手を中心に何かが集まっていく。

「お願い!」

翼紗の掛け声と共に放たれるのは風。集められた空気の塊が悪魔めがけて飛んでいく。ふと見ると、合わせてもいないのに翼紗の魔法発動のタイミングに合わせて千晴も魔法を使用していた。千晴から発せられた冷気が翼紗の風によってさらに威力を増していく。

火属性の悪魔への効果は抜群だった。悪魔は耳を塞ぎたくなるような奇声を発しながら消えていった。


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