表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ハル

ある田舎。


女子高生のはるは道を歩いていた。

すると子供が泣いていて、道に迷ったのだという。

ひどく怖がっているように見えた。

家の場所を聞いてもわからない。名前も言えない。

そこで春は、噂になっている子供のお化けの話を思い出す。

その子供について行くと、行方不明になってしまうというものだ。

目の前の子がその幽霊なのではと疑ってしまう。

が、そんな訳がない、と、、子供の話す家の場所を探してあげる事にした。

交番に寄るが、警察官がいなかった。

また道を歩き、八百屋さんや肉屋さんに思い当たる場所がないか聞くが、誰も知らない。


2人が去ってから、肉屋の夫婦がつぶやく。

「どこの子だろね?」

「あの子、見た事あるような気がするけど…」


春は早く帰らないと行けないと思いながらも、子供を放って置く事が出来ない。

子供は泣き止み、大人しくついてきている。

「君、名前は?」

落ち着いて話しが出来るのではと思い聞いてみた。

「あっくん」

苗字はきけず、下の名前もちゃんと聞けなかったが、貴重な情報だと思い、再度交番へ行く。


やはり警察官はいない。

いつ戻るのかな。


「お父さんお母さんのこと、覚えてない?」

「ママはお仕事。パパもお仕事。妹はおばちゃんちさ行った。」

子供の喋りが、随分訛っている。


少し遠いが、警察署まで行こうと思うが、道を思い出せない。


どっちだったっけ?


そこに通りかかるおばさん。

「あら、あなた。…どこのお嬢さんだったかしら」

春は見覚えがない。

しかしきっと近所の方なのかも知れないと、名乗る。

「春日 春です。」

子供が春を見つめる。

「春日さん?そう」

おばさんはやはり知らない子だったらしく、ごめんなさいねぇ、と言って去ろうとする。

すると、子供が春の手を離し、おばさんについて行ってしまう。


突き放される手。


その時、昔の光景が春を襲う。

春はまだ子供で、泣いていた。

制服を着たお姉さんが近寄ってくる

『どうしたの?迷子になったの?』


また意識が混濁する。

春は子供で、同じ背丈くらいの小さい子供が迷子になってしまったと言って泣いている。

自分は、その子に話しかけた。

『私、春。あなたの名前はなんて言うの?』

『あっくん』


春の顔が暗く濁っていく。

夕日に当てられ生まれた影が消えて行く。


「あら、ついてきちゃったの?お姉ちゃんは?」

おばさんが振り向くと、春の姿がない。

子供はおばさんにしがみつき、酷い顔で震えている。

「おうちどこさね?」

おばさんは何か不穏を感じ、この辺りで噂になっている子供のお化けの話を思い出す。

「ママとパパの所さ行きたい、連れてって」

夕日が落ちてきている。

おばさんは少し考え、交番に連れて行く事にした。

「お姉ちゃんはどこさ行ったの?」

春の事である。

「あの人お姉ちゃんじゃねえべ」

「お姉ちゃんじゃないの??」

「道さ迷った」

子供が迷子だったのだと思い、すると春は迷子の子を連れて歩いていたのか。まるで今の自分である。


交番に着くと、警察官がおり、子供を迷子として預けた。

警察官がずっと出払っていたのは、ある少女を捜索していたからだった。

警察官の机の上には、行方不明の女子高生の情報が載っていた。

間宮かおる(17)、写真に写っていたのは、春日春と名乗っていた少女の顔。


近くの公園ー。

ブランコで、1人遊ぶ少女。

暗くなり、そろそろ帰ろうとしていた。

ブランコから飛び降りると、目の前に制服を着た女子高生がたっている。

「1人で何してるの?」

女子高生は少女をじっと見つめる。

「まだ遊びたくて…でも友達帰ったし、帰る。お姉ちゃんは?」

「お姉ちゃんも帰りたくなくて。良かったら、一緒にちょっと遊ぼう?送っていくよ」

少女は不思議に思った。

「私、春。あなたの名前はなんて言うの?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ