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誰かの書記
古来より、
創作物には『勇者』が存在し
彼らの多くは使命を負い、
自分より他人の命を尊び、
人々の未来を拓いていく
善意の象徴のように扱われる。
だから人々は勇者の在り方を
誇らしく思うのだろうが
彼らの多くが
自らその使命を課したのか?
放たれた矢の行方を
知るものがどれだけいるのか?
僕"ら"は知っている。
彼らの本当の結末は
決して描かれないことを。
虚空に飲まれた矢の行方を。
ハッピーエンドの向こう側は
空白なのではなく、暗闇で
あることを、
僕らは、決して忘れない──