道中
だいぶ更新長くなりましたが、モチベ上がってきたのでガンガン連載しますよー!!!
第二部隊にスカウトされたあと、俺はロイとともにデメラルを後にして王都エスニアに向かった。
王都の軍学校に入るためだ。
そのまま軍に入る気満々だった俺は、少々面食らった。
そんなものは必要ないとはロイさんに言ったのだが、軍学校を出ていないものが急に部隊に加わっても周りから信用されず、作戦行動に支障をきたすと言われ結局は軍学校に通うこととなった。
「全く、なんでまた学校に......」
正直学校には全くいい思い出が無い。
俺の出た学校はめちゃくちゃに厳しく何度も死ぬ目を見た。
教官のトミーは戦場の死にものぐるいの兵士より怖かった。
「なぁ、ロイさん。軍学校ってのはどんなとこだ?」
ロイさんはなんだビビってるのかー?とて教えてくれた。
「基本的には貴族の坊ちゃん嬢ちゃんが軍の戦略やら心構えを学ぶ場所さ。主に参謀、指揮官の育成が目的だな。その下には練兵学校があってそこには平民やら下流階級の子供たちが兵士になる訓練を積んでいるぞ。」
「俺は練兵学校じゃだめなのか?」
「そりゃあうちの部隊は王国きっての最精鋭だからな。練兵学校じゃちと箔が足りん」
「そういうもんか」
「そういうもんだ」
俺はまた頬杖をついて窓の外を何の気なしに見た。
「ロイさん。ちょっと馬車を止めて」
「どうした?なにがあった?」
「女の子がでかい狼に襲われてるんだ。助けに行かなきゃ男が廃るってもんだ」
俺は銃を担いで、馬車の屋根に登った。
「照準眼オープン。敵数1、風向きS/1m、距離1000m」
動き回る狼の眉間に向かって引き金を引いた。
放たれた銃弾は見事にその狼に命中し、狼は断末魔をあげて倒れた。
「終わったよ。ロイさん」
「こんなに早くか!? 流石の手際だな」
「ありがとさん。だが、襲われた女の子が怪我をしてる。記念すべき初仕事の祝杯はその子を助けた後にしよう」
「あぁ、その通りだな」
俺たちは馬車でその女の子の元へ向かった。
「やぁ、大丈夫かい?」
女の子は少し脅えていたようだが、少し生意気さを感じる高い声で答えた。
「右足を少し捻ったわ。そんなことよりあんた........」
言い終わらないうちに俺は馬車から降りて、女の子の足を治療し始めた。
緑色の美しい光が足を包んでいった。
これ結構疲れるんだよね。
「ふぅ........」
「い、痛くない!?」
女の子は驚いた様子で右足を見つめている。
まぁこれで問題は無いだろう。俺は踵を返して帰ろうとした。
「ちょっと待ちなさいよ!」
女の子の声に俺は振り返る。
「このフェンリル、あなたが殺したの?」
へぇ、この白い毛の狼はホワイトウルフって言うのか。
そのまんまだな。ネーミングセンスを疑うな。
「あぁ、そうだが。なんか問題あるかい?」
女の子は震えた声で俺に言った。
「ホワイトウルフは大隊クラスの軍隊で戦うモンスターよ?それを一発ってあんた何者よ......」
女の子は明らかにこちらを警戒して、剣を向けている。
あらら、どうすっかね.......一般人に攻撃はできないし........
「やぁやぁ、お嬢さん。彼は私の息子でね。第二部隊に入隊が内定してるんだよ」
ロイさんはそう言ってこっちにバチンとウインクをした。
いや、俺はあんたみたいに厳つい顔じゃないだろ!
そもそもそんなことで、納得してくれるわけが.........
「え!もしかして第二部隊隊長のロイ様ですか!?」
「えぇ、そうですよ」
「うわー本物だ!この前の王国魔術大会見てました!すごいかっこよくて、私もこんな魔法使いになろうって思ったんです!」
「はっはっ、それは嬉しい限りです」
「そっかー、ロイ様の息子さんならこの強さも納得ですね!」
待て待て待て、ロイさん意外にすごい人なのか.........
ていうか、特殊部隊の面が割れてるってのはどうなのよ.........
ロイさんはわっはっはと笑って俺の肩を組んだ。
酒臭いから離れて欲しい。
俺はアイドルにあったような顔の女の子を見て、深いため息をついた。
俺の心は言い知れぬ敗北感に包まれていた。
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