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D-89:神話




D-89:神話




何もないところからぽんぽんと料理の出る魔法のテーブル、七色に輝きながら空飛ぶ燭台、ひとりでに踊り出す陽気なカーペット。グランディアは話以上に不思議のつまった場所だった。


リンナはテーブルごと食らい尽くす勢いで料理を食べ、Fはカーペットに翻弄され歩くのもままならない。そんな二人をクスクスと笑いながらドッぺルはその部屋に入る。


中央にあるその黒い楽器は彼が椅子に座るとひとりでに蓋を開いた。

綺麗に並んだ白と黒は歌をいれられるのを今か今かと待ちわびる。


ドッぺルはすぅ、と息を吸い、吐くと同時に両手を鍵盤にのせた。

最初の音はC。曲はきらきら星変奏曲。

単調なメロディーが繰り返されるごとに色を持って生まれ変わる。

ドッぺルはそう、音遊びのように、懐かしむように、その軽く優しい声を指に纏う。


ああ、トロイ。君にこの音が届いているだろうか。


溢れる感情は音となって星に向かって昇ってく。

瞬く星はきっと届けてくれるだろう。

もう今はいない彼女や、彼に──。


─────────────────


その後しばらく経って、三人は一つの机を囲んで席についた。

ドッぺルがいつになく真剣な顔で口を開く。


「……これから話すことは他言無用。そして聞いてしまったらもう元には戻れない。それでも聞いてくれる?」


Fとリンナは顔を見合わせると同時にため息をついた。


「どーせ聞かなくても」

「元には戻れないでしょうに」


ドッぺルは苦笑いしながら「それもそうだ」と言った。


「まず、ええと、どこから話そう。……“祖神”って知ってる?」


Fは首を横にふり、リンナは首を斜めに傾げた。


「祖神ってのは世界を作った神様のこと。一つだけじゃない、すべての世界を、一人でね」


─────────────


昔々の大昔。

世界はたった一人によって生まれました。

七色の魔法を使ったそれはそれは美しい世界。


彼は自らの作った世界が永遠に続くよう、あるシステムを考えました。


神様の交代制です。


彼はまず白色の魔法使いを育てました。

白色の魔法使いがやがて一人前になるころ、彼は年をとりよぼよぼになりながら、告げました。


『私はもう死ぬが、これからは君がこの世界を守るのだ。そして、やがて黒色の魔法を使うものが現れる。そのものを君は育て、次はそのものに世界を守らせろ。それからは白と黒が時をつたって巡り巡る。互いに異なる色を育て伝え、世界を守り続けよ』


やがて白色の魔法使いがおじいさんになった頃、黒色の魔法の素質を持った子が現れました。彼は言われた通りその子を育て、同じように世界を守り続けるよう命じました。


黒色の魔法使いはやがて白色を、そしてその白色はまた新しき黒色を……こうして世界は今も黒色、あるいは白色の魔法使いによって守られているのです。


────────────


ドッぺルはそこまで話すとテーブルからお茶を取り出しゆっくりとすすった。


「どこかで聞いたことあるわ……どこだっけ……」


リンナはひとり腕を組んでさらに首をかしげる。


「で、なんでそんな話を今するんだ?」


Fは話の途中で気づいていたのだろう。しかし、敢えて口には出さなかった。


ドッぺルはもったいぶるようにもう一度お茶をすすって、ゆっくりと答えた。


「今は白の世。── そして、俺こそがその世界監督。白色の魔法使いなんだ」



こんにちは。ななるです。


十五夜過ぎましたね。お団子は食べてませんが、温泉卵を食べました。カルボナーラと一緒に。うへへ。


さて、次回があればまたお会いしましょう!

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