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D-80:ミンハンド


D-80:ミンハンド




 宿から出発し、一時間もすれば並ぶ店の数もぐっと減ってくる。建物が無くなって橋の外側が見えやすくなると、やっとルワーユの姿が斜め上から眺めることができるようになる。


 Fはだんだんと見えてきたルワーユを口をあんぐりと開けて見ていた。


 確かに、ドーナツの真ん中に島がある、といういつかの喩えは的を獲ていた。世界溝の中心にそびえたつ、プリン型の大地。そのカラメルの部分にルワーユという街があるのだ。


「あっはは。F、ルワーユを眺めるのもいいけどさ、上を見てごらんよ」


ドッぺルがツンツンとFをつついて、「上、上」と指を指す。つられて見上げたFはまた口をあんぐりと開けて、絶句。


 今、Fたちが乗っている回転する巨大な橋、ホウハンド。途中に街が形成されるくらい幅の広い橋だ。その真上をホウハンドに似たような何かが同じ方向にホウハンドの何倍かの速度で回転している。


「ふふっ……もう、Fったらそんな間抜けな顔しないでよ。あれはね、“ミンハンド”。ホウハンドと同じようにルワーユを中心に世界中を回る巨大機構。幅はホウハンドの3分の1、長さはホウハンドの三倍、回転速度はホウハンドの12倍」


リンナがスラスラと説明を始める。Fは話を聞くたび驚きの連続だ。


「長さ三倍って、フラッタにも届いてるじゃねーか。あんなの見たことねえぞ?」


「ああそれは……」


「それはミンハンドの色はルワーユに近づくほど色濃く、離れるほど透明で人には見えなくなっているからだよ。ミンハンドはその存在の曖昧さと位置の高さからしてゴンドラの設置が出来なかったから、橋として利用されていない。ホウハンドとミンハンド、この二つがルワーユの有名な観光名所、『世界時計』を形成する針なんだ」


ぐいっとリンナの説明にわって入ってくるドッぺル。こいつらどんだけ説明したがってんだ。


「ちなみに、ルワーユの入り口は最初のゴンドラとは違ってルワーユ中心部まで行って降りるの。……ほら見て!!私たち今、ルワーユの真上を歩いてる!」


おおお……!話しているうちにルワーユの淵まで歩いていたようだ。建物や人がまるでジオラマのように小さい。


「おっ、見えたきた。あれだな?ルワーユの入り口ってのは。その隣のは……城?」


ルワーユ中心部に伸びる巨大な軸。そこにホウハンドとミンハンドが繋がっている。そのすぐとなりにおとぎ話に出てくるようなトンガリ帽子をいっぱいつけたような立派なお城がある。


「あれこそ王の住まう城、ルワーユ城だよ」


その時、なぜかドッぺルが懐かしそうな顔をしているのFは不思議に思ったが、目の前の光景にすぐに心を奪われた。


「ゴンドラっ!」


最初のゴンドラとは比べ物にならないほど大きく豪華なゴンドラ。なんだ?ルワーユというのは何でもかんでもスケールが違うのだろうか?


「ハイハイ、F、落ち着いて。恥ずかしからね」


くっ……まさか、リンナにそう言われるとは。反省しよう。


「……さて、いいかい?いよいよルワーユに乗り込むよ。──くれぐれも13にかかわっちゃいけないよ」


リンナがごくり、と喉をならした。


Fはその時は何のことかわからなかったが、後に嫌というほどわかるはめになる。




こんにちは。ななるです。


気がついたらブックマークが10まで増えていて、嬉しい限りです!!読者の皆様大変ありがとうございます!


次回があればまたお会いしましょう!

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