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D-79:橋町⑧



D-79:橋町⑧



冷たい風が割れた窓から吹き抜ける。


Fとリンナはただ呆然としてエレーナが消えた外ばかりを見つめていた。


しばらくすると、結界を修繕し終えたドッぺルが。


「やぁっと終わったよ。ついでにドラゴンに壊された店や橋の修理までやらされたし、素晴らしき俺の魔法捌きをもっと崇めて欲しいよね──って、うわ。なにこれ?」


ドッぺルが驚くのも無理はない。宿に帰ってきたら見るも無惨に荒らされているのだから。


ドッぺルは一度辺りを見回して、それからFとリンナを交互に見ると、はあ、とため息をついてこう言った。


「……いくらむしゃくしゃしたからってダメじゃないか、リンナ。ゴリラを発揮していいのは君のホームグラウンドのフラッタだけだよ?」


「ちょっと!あんたどんだけ失礼な勘違いをしてんのよ!人をそんな野性動物みたいな言い方しないで!」


ドッぺルは一度、パチン、と指をならすとガタガタと部屋中の物が震えだした。そして、とうとう我慢できないというように動き出したそれらはひとりでにもとにあった場所へと帰ってく。あっという間に部屋中が片付いた。もちろん、窓ガラスもだ。


「まあ、いいや。そりより二人とも、橋町の人達が俺たちにお礼がしたいってパーティーに招待してくれたよ!今日は外でバーベキューだってさっ!」


きらきらと目を輝かせてドッぺルが外に出ようと二人を促す。

Fは歩きながらドッぺルに聞いた。


「おい、今鍵はどこにある?」


「え?俺が持ってるけど?」


「そうか……」


なにやら深く考えているFを不思議そうに見つめると、ドッぺルはリンナに助けを求めるように目配せする。


リンナは先程までの一件をありのまま話した。


「あっはは。なるほどね……だからFは柄にもなく考え込んでいるんだね」


「悪かったな、柄にもなくて」


「ドッぺル!あんたね、私殺されそうになったのよ?笑ってる場合じゃないわ!何で白狼騎士団が鍵を狙ってるのか、最後の人間離れした動きは何だったのか……これがわからないとこの先もっと危ない目にあるかもしれないじゃない!」


話をしながら歩く三人は、いつの間にか宿のエントランスまで進んでいた。ドアを出る直前、ドッぺルはクスッと笑って二人に言う。


「……大丈夫、大丈夫。答えはもうすぐそこだ。今日はパーティーを楽しもうよ」


ドッぺルが開いたドアの外から、人々の喧騒が漏れてくる。煙と共に香ばしい匂いも。喧騒に紛れて聞こえるジュウッという肉を焼く音が三人の胃袋を刺激した。


「ほら、行こう!明日はルワーユに着くから、今夜くらいは楽しまなきゃね!」


明るい調子の不吉な言葉。それはまるでルワーユでの日々が既に呪われているとでもいいたげな……


Fとリンナは目の前の光をとらわれて、未来の暗示を聞き流した。


素晴らしき宴は、その夜が開けるまで続いた。




こんにちは。ななるです。


やっと橋町シリーズ終りました!ルワーユ訪問編はまだまだ続くし、丁寧に書かないとすぐに矛盾が出るからたいへn……ごほん!!


次回があれば、またお会いしましょう!

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