D-76:橋町⑤
D-76:橋町⑤
「《トランジ・ガリア》!!」
スクナメルジャを覆ったときのものよりも何倍も大きい魔方陣がドラゴンを包む。
「「「エアァアアアアアハッっっっ!!!」」」
声だけを残して、ドラゴンは橋の外へと消えた。
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宿の階段を駆けのぼる。息を切らしながらも、リンナはスピードを落とさなかった。
結界……竜避けの魔法の壁がこのホウハンド全域にかけられている。それは普通、竜の力でも破ることのできない代物。そしてかんなが言うことから察するに破れて直せる人間なんか普通いないのだ。
さらに、ドッペルはこう言った。──誰かが意図的に破った──と。
じゃあ誰が?何のために?
──そんなこと、深く考えなくったってわかる。
ドッペルとFの部屋。入り口は半開きだった。部屋の中からはガサゴソという物音が聞こえる。
気配を殺して中に入ると、白いローブを纏った何者かが、Fの旅行鞄をあさっていた。
「──あらあら、ノックもしないで入ってくるなんて、なってない娘ね?」
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橋町、中腹。
「おい、ドッペル!まだかかってんのかよ?」
Fは宙を浮いてるドッペルに向かって叫ぶ。
「うるさいなー。言っておくけど、これ、普通、世界で数人しかいない貴重な魔法使いを七人集めて、完全にシンクロさせた完璧なコンビネーションをさせないと直せない代物なんだから」
珍しくドッペルが機嫌悪そうに文句を垂れる。
いつもからかわれるFとしてはもう少し困って欲しいものである。
「なんでもいいけどよー、あとどれくらいかかるんだよ?」
「うーん……この調子だとさっきのグランジー種の突進によるもつれとか直すとすれば……一時間、いや、二時間くらい?」
おいおい、最初ドラゴン倒すの手伝うとか言ってなかったか?
「じゃあ俺は先に宿にかえってくつろいどくから、ごゆっくり~」
「あっ!Fずるい!差し入れ持ってきてよ!」
聞こえな~い、と耳を塞いで宿へ向かうF。
困れ困れ、とニヤニヤしている顔を隠しながら。
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「──あらあら、ノックもしないで入ってくるなんて、なってない娘ね?」
リンナにとって聞き覚えのない、若い女性の声だった。
「あんた誰よ?わかってると思うけど、ここはあなたの部屋じゃないわよ?」
「ふふ、そんなことはわかっているわ──リンナ・C・フラッタ様?」
灯りのついてないこの薄暗闇の中で、私の正体をあてるなんて。
リンナの首筋をツー、と汗が一筋。
「あんたでしょ?結界を破ったのは。そしてその混乱に乗じて鍵をぬすむつもりだったのね!?」
そこで女はFの鞄から手を離し、リンナの方を向いて拍手を贈った。
「ご名答。でも、おかしいの。鍵がどこにも見当たらないわ。教えてくださらない?」
女はゆっくりとリンナの方へ近づいて行く。リンナは後ずさりながら言う。
「誰が教えるものですか!それに質問してるのはこっち。あんた誰なのよ!何のために鍵を狙うの!?」
「ふふ、知る必要は無いわ。私の姿を見た時点で、あなたの死は決定事項……厄介な魔法使いも結界直しで忙しいし、棒振り少年もまだドラゴンの相手をしているでしょう。助けなんて来ないわ」
くっ……やはり、そこまで予想して結界を破ったのね。
「さあ、私に殺される前に教えなさい!鍵はどこに隠したの!?」
言葉と共に振りかざされる漆黒のダガー。同時に白いローブがとれた。
初撃をかわしたリンナは、中から現れた女の服装を見て驚いた。
「その制服──白狼騎士団!?」
「さあ、さあさあさあさあっ!!答えようが答えなかろうが、竜避けの結界すら破ったこのタガーで、あなたのことも切り裂いて切り裂いてビリビリに殺してあげるっっつつ!!」
こんにちは。ななるです。
ええ、宣言通り戦闘多いですよ!今回!
ルワーユに行く前に自分が倒れちゃいそうです。
さて、次回があれば、またお会いしましょう!




