D-75:橋町④
D-75:橋町④
大方の避難誘導を終えたリンナは離れたところから様子を見ていた。
「何やってるのよドッペルは。結界なんてあいつの魔力量じゃ簡単なはずなのに」
苛立ちを抑えられず歯ぎしりするリンナ。Fが戦っているのに自分が助けられないのが腹立たしいのだ。
「──そう彼を責めないでください」
どこからともなく現れたかんなが戦況をまっすぐ見据えながら言う。
「あの竜払いの結界、実は、昔、私が張ったものなのです。、──強力な色魔法が何重にも重ねられた結界。本来であれば私にしか張れないはずなのに……さすがです」
「何が『流石です』よ!あんたが張ったならさっさと直してきなさいよ、何ボーっと突っ立っているわけ!?」
聞き捨てならないとリンナがかんなに牙をむく。かんなは慌てて両手を振りながら、「今の私には無理ですよー」と叫ぶ。
ドォォォォォオオンンっっ!!──と、轟音。大きく揺れる橋。耳をつんざくような大量の悲鳴。
Fと闘っている竜は羽を広げ宙に浮いている。じゃあさっきの轟音は──
「ドラゴンだあああっっ!!!」
誰かがドッペルの方を指さして泣くように叫ぶ。見ればドッペルが修理しているところのすぐ外に、Fと戦闘中の一頭の二倍くらいあるドラゴンが今にも体当たりしようと目を鋭くしている。
「どうやらあの竜の親のようですね。これは紛れ込んだ一頭を殺すだけでは済みそうにありませんね」
かんなが顔を苦めてそう呟く。
それを聞き終える前に、リンナは宿へと走り出した。
───────────────
ドォォォォォオオンンっっ!!──目の前の一頭よりも巨大なドラゴンがドッペルの方に体当たりをした。
「おい、ドッペル!大丈夫か!?」
Fがドッペルの方を向いてそう叫んだとき、目の前の一頭がFめがけて業火のブレス──
「なっ」
──避けられない!!
瞬きすら許されないその瞬間に、聞きなれた声が響く。
「《イージス》!!」
複雑な模様の白い魔法陣がFの前で展開される。それはドラゴンのブレスをもろともせず、Fに熱さえ感じさせなかった。
ドッペルが叫ぶように言う。
「グランジー種の群れがこっちに向かってきてる。F、絶対にそのドラゴンを殺しちゃダメだ!殺したら外のグランジー種が怒り狂う!」
「じゃあどうしろってんだよ!?」
Fは目の前のドラゴンの猛攻を避けながら聞く。先ほどドッペルがだした魔法陣はいつの間にか消えていた。
「結界を直す前にそいつを外へ転送させる。Fはそいつを俺の目の前にくるようになんとかしてくれ!」
なんとかってなんだあああっっ!!
Fはなんとか竜の攻撃をかわし、できるだけドッペルのもとへと誘導しようとする。が、魔法の射程圏内にはなかなか入らないようで、ドッペルは苦い顔をしながら手を構えるばかり。
考えろ、考えろ──!!
近づけばその爪や尾で叩きつけられ、離れれば炎の咆哮。厄介なのは空中から予想のつかない角度のダイブ。立体的に動くこいつをどう導けば……
「!」
ドッペルは青ざめた。Fが橋の真ん中で静止したのだ。
「おい、F!そんなところでぼさっとしてたら──」
「──いいか?絶対にさっきの楯は張るなよ?」
Fはニイっ、と笑った。そこにドラゴンがまっすぐにドライブ。
「あっ──!!」
風を切る音が光をぼやかす。それほどに早い竜の攻撃。
Fに衝突するその瞬間、鈍い音と共にドラゴンはぎこちなく宙にあがった。下に残るは剣をあげているF一人。──そう、Fはフライ返しの要領でドラゴンを剣の腹で上にあげたのだ。
「今だ、ドッペル──!!」
ドラゴンが目の前に現れた一瞬を、ドッペルは逃さなかった。
「《トランジ・ガリア》!!」
スクナメルジャを覆ったときのものよりも何倍も大きい魔方陣がドラゴンを包む。
「「「エアァアアアアアハッっっっ!!!」」」
声だけを残して、ドラゴンは橋の外へと消えた。
こんにちは。ななるです。
一周年記念の企画の締め切りが来ていました。
そして、いつの間にか平成が終わり令和に……
ツイッターにて企画に参加してくださった方、本当にありがとうございます!企画和制作中です!
そして!
令和でも私、ななるをよろしくお願いいたします!




