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D-73:橋町②



D-73:橋町②




「ふふふ、その通りじゃ、若者よ」



店の奥から現れた白髪の目立つ老人。誰だろうと二人で様子をうかがっていると


「おお、すまんすまん。私はこの店の店長じゃ」と名乗りだした。


─────────────────


店の店長を名乗る老人は説明を続けた。


「この剣は戦い向けに作られたものでない。おまじないみたいなものじゃ」


「まじない……?」


「そう。ルワーユで13の数が嫌われているのは聞いたことがあろう?それはな、言い伝えがあるからじゃ。──『針が13の刻を示す時、全て素に帰る』──針というのはおそらくルワーユの世界時計のこと、後半の部分は世界の破滅を意味するものだと言われておる」


世界時計……Fでも聞いたことがある、ルワーユの観光名所だ。


「13の刻、すなわち存在しない13番目の文字盤を時計の短針が指した時、この世界は崩壊する──ならば、そうなる前に時計の針を切り落とせばいい!そういう願いを込めて、この剣は作られたのじゃ」


何だか安易な発想過ぎる気もするが……Fはもう目の前の剣を悪く思わなかった。


「ホッホッ、邪魔したな。よい旅を」


そういって老人が離れたあと、Fとリンナは店を出た。


───────────────────


店を出ると「あっ、こっちこっち」とドッペルが大きく手を振っていた。


どうやら宿がとれたようだ。


「どう?何かいいものあった?」


とドッペルが聞いてきたから

「時計ばっかだった」

と正直に答えると、やつお得意の「あっはは」すらあらわれずに


「だろうね」


とすました顔でいってくる。くそ、何だかいつもより腹が立つぞ。


「で、あんたは宿とれたの?」


リンナが不機嫌そうに腕を組む。するとドッペルは何だか申し訳ないというように、両手を拝むように合わせて言った。


「それが、二部屋しかとれなくてね。誰か二人は同じ部屋になる」


「上出来じゃない!私が一人で部屋使うから、仲良く二人で寝なさい」


「何勝手に決めてんだよ。ここはジャンケンだろ、ジャンケン!」 


「もう!女の子にはいろいろあるの!」


リンナがそう言うとFとドッペルがなぜかキョトンとした顔になる。


「……そっか、リンナも一応女の子だった」


「……ああ、すっかり忘れてたぜ」


ドンドンっ、とそのあと橋のど真ん中で半殺し死体が二つならんだのはお察しの通り。


──────────────


「じゃあまた明日ね」とリンナと別れてFとドッペルは自分たちの部屋へ。


「おお……!」


思わず溜め息のでるほど絶景……そう、言葉通り()()だ。部屋に入ってまず目に入るのは一面ガラス張りの壁。外の様子がよく見える。


橋の縁に位置するそのガラスの壁の向こうには、無限に下へと伸びる闇ばかり。



一体全体どこまで続いているんだ?


Fが窓にぴったりくっつくようにして外を見ているのを見て、ドッペルはクスッと笑った。


「凄いだろ?これが《世界溝(トレンチ)》。入れば二度と帰ってこれない秘境。浅いところにはドラゴンが巣くい、来るものを阻むという」


世界溝……そのあまりのスケールにFは言葉を失った。


フラッタに引きこもってたら、一生見ることはなかったな……


「見て、F!」


ドッペルは世界溝のルワーユ側の縁を指差して叫ぶ。小さくてよく見えないが、何かが列をなして動いている……


「あれは探窟隊。ルワーユが世界溝を調べるために潜らせているんだ」


「え、でも……」


潜ったら死ぬんじゃ?


ドッペルはFが何を言いたいかわかっているようで、最後まで言い終わる前に手をかざして止めた。


「そう、普通の人間なら死んでしまう。普通の人間なら、ね?けれど彼らはちゃんと何日かしたらあがってくるよ。……まあ、何人かはドラゴンに食われて減っちゃうけどね」


「普通の人間なら、て。まるであいつらが人間じゃないみたいな言い方じゃないか」


「あっはは、その通り。……まあ、その話は──」


ガタンっ!!


大きな音がして地が揺れる。否、橋全体が揺れているのだ。


「「「エアァアアアアアハッっっっ!!!」」」


大気がが揺れるほどの轟音。これは……鳴き声?


ドッペルは顔を歪まして呟いた。


「っちぃ。なんで《ドラゴン》が橋の中に……!!」



こんにちは。ななるです。


宣言通り、バシバシ先頭やって来ますよーー!!

……うう、頭が……


次回があれば、またお会いしましょう!

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