表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/102

D-71:ホウハンド



D-71:ホウハンド



「それでは上へ参ります。ご気分が悪くなられた時はすぐにお申し出ください。」


そう言ったあと、そのきちっとしたスーツ姿の男は腕をまるで指揮者のようにふり、何かに向かって合図した。


「おおっ……!」


Fは目の前の光景に思わず感嘆の声を漏らした。


ガタンッ──と大きく足場が揺れる。それと同時にだんだんと周りの景色が下へ下へと離れて行く。自分よりずっと背の高かったさっきの木も、もうパノラマ模型のようにちっぽけなものへと変わってしまった。


「──どう?初めての《ゴンドラ》は。」


リンナがニヤニヤしながら聞いてくる。こなれた感じがまた腹立たしい。さらにその後ろでドッペルがニタニタと笑っているのがさらにむかつく。


Fは無視を決め込んだ。


─────────────────────


Fたちは今、フラッタを出てルワーユへ向かう真っ最中だ。フラッタを北から出て、まっすぐと薄暗い森を進んだ先、急に視界が開けたところに現れたこの《ゴンドラ》。リンナとドッペルに訳もわからず引っ張られ、Fは離れて行く地上に一人、感動していた。


「おいドッペル、ルワーユって空の上にあるのか?なんでこんなのに乗らないといけない?」


ひとしきり感動し終わったあと、Fは唐突にそう聞いた。ふと上を見上げると、雲がかかって行き先が見えなかったからだ。


「あっはは、違うよ。ルワーユは更に北に進んだところにある。フラッタと同じくらいの高さにね。ただそこへ向かうのに、一度上へ行く必要があるのさ」


「??」


Fは首を捻った。


すると今度はリンナがクスクスと笑って「少しは本を読めばよかったのに」なんて馬鹿にしてくる。リンナが説明を引き継いだ。


「私たちの街、フラッタやリューク、そしてレギリアなどなど……12の街は綺麗に円をなすように並んでるの。その中心に位置する13番目の街、それが“永遠(とわ)の都”ルワーユ──ここまでは知ってるでしょ?」


こくん、とFは深くうなずく。リンナは満足そうに笑うと説明を続けた。


「本来なら確かに、まっすぐ進めばルワーユにつくわ。でも無理なの。ルワーユと他の12の街の間には陸が続いていないのよ。例えるなら、そうね……ドーナツの穴の真ん中に島が出来た感じ?」


……その例えはいまいちピンと来ないぞ……


リンナはFやドッペルの微妙な反応を察してか、コホンッ、とわざとらしく咳払いをして続けた。


「ルワーユと他の12の街の間の溝、それこそを人々は《世界溝(トレンチ)》と呼んでいるわ。底の見えない大溝、《世界溝(トレンチ)》──その上空には竜が舞い、その奥深くへは人は生きて入ることは不可能だと言われてる……」


ごくり、とFは無意識に喉をならした。

ドッペルはどこか楽しそうにリンナの説明を聞いている。


「なら、なんでこの《ゴンドラ》に乗って上へ行くのか?上には竜がいるのではないのか?そもそも上へ行ったからといってルワーユへたどり着けるのか?──そう思ってるでしょ?それはね──」


バッ、とゴンドラが雲を抜けた。視界がいっきに広くなる。ガタンッ、とゴンドラが止まった。


「!」


Fは目の前の光景に目を疑った。


ドッペルがクスッと笑い、代弁するようにリンナが声を張り上げる。


世界を廻る橋(アラウンドブリッジ)“ホウハンド”!!これこそがルワーユを行き来するための唯一の道。ルワーユ上空を軸に12の街を時計回りに廻る巨大な橋。周りには竜避けの頑丈な魔法の壁がなされていて、防御も完璧。──ねぇ、すごいでしょ!?」


まるで自分のことのように高らかに声を張り上げるリンナ。


「誰がいつ、どうやって造ったのかは不明……全てが神秘に包まれた古代の遺産……何度来てもやっぱり素晴らしいわっ!」


ゴンドラの扉が開いた。スーツの男は「よい旅を。」と言って人々に微笑んでいる。あっという間にFたち以外の人間はホウハンドへと出ていった。


ドッペルが呆気にとられているFを引っ張る。


「ほら、早く降りないと()()()()()()()()よ?リンナも言ってただろう?()()()()()()()()()。いつまでも同じ駅には止まってられないのさ」


Fは橋に足をつけて更に驚く。……広い。橋というのにフラッタメインストリートよりも幅が広い。両端に建物がたっているところもある。


そして何より……本当に動いている!揺れを感じるのとは違うが、確かに時計回りに回っているようだ。すでにさっきのゴンドラの入り口と橋の先がずれてしまっている。


「帰りもなんとかタイミングが合えばいいね……」


ドッペルが離れて行くゴンドラを見ながら言う。


そうか、だから最初乗るときにFは説明もされずに引っ張られたのか。時を逃せばいつ乗れるか分からないから。


「さ、F。進もうよ!」


ドッペルがまた、Fを引っ張っていった。

こんにちは。ななるです。


サンセットオレンジに公式感想がきたり、企画にコメントがきたり……嬉しいことだらけです!本当にありがとうございます!


次回がありましたら、またお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ