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D-67:女子会③



D-67:女子会③


夜、フラッタの屋敷にて。


風呂から上がった私は寝間着に着替え、タオルを首にかけて自分の部屋に戻った。ベッドにどすんと腰を下ろし、青と赤の双眼でキョロキョロと周りを見渡して、姿の見えない彼女に向かって呼びかける。


「かんな~!かんなさーん!」


「はいはい、私はここですよ」


声と共に現れる、等身大の彼女(かんな)はやっぱり何度見ても馴れないものだ。瞳の色と髪の色以外、背も顔も同じかんなを見ていると、なんだかずっと鏡を見ているようで気味が悪い。Fもこんな気分なのかしら?


「あんたって本当に夜しかちゃんとした姿になれないのね。というか昼間はどこにいるのよ?私が呼び掛けても現れないときあるでしょ?」


「どこ、と聞かれても………()()()()です。まあ、そんなにリンナから離れることはできないので、基本的には傍にいますよ」


と苦笑い。なるほど、はっきり言いたくないところに行っているのね。


「まあ、いいわ。それよりそんなとこに突っ立ってないで私の隣に座ってよ。どうせ夜しかゆっくり話せないんだし、それにまたいつ消えるかもわからないしね」


と少し皮肉を混ぜてみたのに、かんなは楽しそうに「ふふ、そうですね」と笑う。ストン、とかんなが私の隣に腰を下ろした。


「そういえば、今日は何故ベルさんを呼び出したのですか?」


かんながふと思い出したというように聞いてきた。


「女子会よ、女子会。私ね、一度やってみたかったの。クレアはそういうの好きじゃないって言うし、メイドたちは堅苦しいし、リリィはカフェから外にでないし………あとはあんただけど、一緒になにか食べて店まわるなんて出来ないでしょ?だからベルを呼んだの」


そう答えるとかんなはなんだか不満そうに「それだけですか?」と聞いてきた。


「それだけって?」


「じゃ、なんで最初少し警戒していたんですか?」


「………え?」


すると今度はニヤニヤ顔になって

「──本当はFさんとの関係を調べるのが一番の目的だったんじゃないんですか?」


なっ──!


「ばっ、バカ言わないでよ!………確かに少し、ほんの少しだけ気になっててはいたけど………でも少しよ、少し!それにベルは完全に脈ナシって感じだったし………バカ言わないでよね、このバカ!」


するといっそうかんなのニヤニヤ顔はうるさくなって、

「ふふ、本当にFさんのことが大好きなんですね」

なんて言う。


だから私もムキになって「あんたはどうなのよ?」と聞いた。


「え?」


「ドッペル、じゃない──かむいのこと、どう思ってるの?というか、ど、どこまで進んでいるのよ………」


あああ、私一体何を聞いているのかしら………


かんなは目をぱちくりさせて、その後何かに納得したのか静かに笑った。そしてゆっくりと立ち上がり窓際まで歩くとカーテンを少しだけ開けて外を眺めた。


私の位置からだと夜の闇しか見えなかったが、かんなには一体何が見えているのだろう。


「………好きですよ、とっても。誰よりも、何よりも、かむいさんが大好きです。………けれど、それは“ドッペル”という人とは別人なんです。私の好きな人はドッペルさんじゃない。“ドッペル”は“かむい”という人のほんの一部に過ぎないのです」


穏やかな声。慈愛に満ちた優しいその声は私じゃなくて彼女自身に言い聞かせているようだった。


かんなはカーテンを閉めるとクルリと私の方を向くと満面の笑みでこう言った。


「どこまで、という問いに答えるならば、『一緒にひとつのベッドで一夜を明かしたことがある』とだけコメントしときますね」


「どういうこと!?」


え、どういうことなの?ちょっと、え!?


「ふふふ………子供の時の話ですけどね。あ、そうそう!」


な、なんだ子供か………かんなはもう一度私の隣に座ると明るい声でこう言った。


「ブルーハイヒールの時の青い目、ドッペルさんならたぶんどうにかできますよ。魔法でちょちょいのちょいです」


黒いコンタクトレンズを毎日両目につけてはいるが、なぜだか青い目の方だけは隠せない。視力は問題ないが、フラッタでは大きなこと。この前はベルのおかげで丸く収まったが、いまだにこの目を見てギョッとする人は多い。けれど──


「いいわ、このままで。これ以上隠し事はしたくないの」


そう。もう変に騙すようなことはしたくない。


「そうですか………でも、私のことは黙っていてくださいね。まあ、言っても見ることは出来ませんし、触れることも出来ませんが」


「わかってるわよ………もう!あんたもドッペルも秘密主義過ぎるのよ!ドッペルゲンガーなんて都合のいい嘘をついて、一体何を隠しているの?」


「ふふふ………別に嘘というわけじゃないですよ。でも、まあ──もう少ししたら、きっとドッペルさんから話してくれますよ」


またそう言って遠い目をする。なんだかズルい。


私達はその後も少しだけ、たわいのない会話をして床についた。


“もう少ししたら”──か。


私は何か取り返しのつかないことが始まってしまったような気がしてならなかった。

こんにちは。ななるです。


次回からまた長編に入ります!

「ルワーユ訪問編」

今度はバトル多めで頑張ろうと思います!


気がついたら70話越えてました!応募ありがとうございます!


次回があれば、またお会いしましょう!

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