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D-64:雨のち晴れの日



D-64:雨のち晴れの日



その日は雨で、特に用事もなく、依頼人も来なさそうだったからなんとなく俺とドッぺルは向かいのカフェ『あまやどり』によることにした。多分エンもいるだろう。


そういえば祭りの時、エンに『クルック()()()によろしく』と言われていたのをすっかり忘れていた。あれは一体全体どう言うことなんだろう。結局クルックにも何も言っていない。


“open”の札が掛かっているドアを開けると、リリィ、エン、それからクルックがいた。


「やあ、F。それから君がドッぺル君かな?本当にFや隊長にそっくりだ!」


「な、何でここに………?」


「今日は非番だからね。ほら、制服じゃなくて私服だろう?」


クルックは黄色い生地にリンゴとメロンで出来た雪だるまのプリントが入ったTシャツを着ていた。だ、ダサい………そうじゃなくて。


「そうじゃなくて、何で()()にいるんだよ?」


は!まさか本当にエンの兄なのか?いやしかし、弟がいるなんて聞いたことがない。


「あれ、聞いてない?リリィは僕の妹なんだ。だからここは僕の実家だから、いるのは別に変わったことじゃないわけだ。フラッタを出る前もちょくちょく皆でここに来てたけど、そういえばFはまだ連れてきたことが無かったなぁ」


そっちか。


「じゃあ何でエンがクルック()()()て呼んでるんだよ?」


俺がそう聞くと今度はエンが答えた。


「それは俺がここに来たときからクルック兄さんにはたくさん世話になったからな。俺にとって本物の兄みたいな存在なんだ」


「いやあ、照れるなぁ」


なるほど。まあ、リンナもクルック兄と呼んでるし、別に変わった話でもないか。


「へぇ、エンさん、元から徒然町にいた訳じゃないんだ」


ドッぺルはそこに興味が湧いたらしく、エンの近くに腰を下ろした。


「ああ、まあな──そんなことより、ドッぺルはクルック兄さんとは初対面だろ?お互い挨拶しろよ」


エンに押されてドッぺルがクルックの前に出る。


「ええと………はじめまして。ドッぺルです。Fと問題屋というのをやっています。よろしく」


何だ?やけにぎこちない。


「うん、よろしく。僕はクルック・マイストロール。リリィの兄で、Fとは同じ道場だった。一応、二番隊副隊長を任されているから、何か困ったことがあったら声をかけてね」


するとエンがゲラゲラ笑って言う。


「いらない、いらない。クルック兄さんよりドッぺルの方が断然強いぜ?」


「嫌だな、エン。Fがいる時点で俺なんか必要ないってわかって言ってるんだから」


それでいいのかよクルックよ。


リリィが手を合わせて驚いたと言うように、声を高くして言う。


「私、兄さんが道場に行ってたのは知ってたけど、まさかF君も同じ道場だったなんて。あ、だからいつも屋上で木の棒を振り回してたのね!窓から見ていていつも不思議だったの」


いや、木刀………


「F君と兄さんはどちらが強いの?」


「そりゃ、クルック兄さんだろ。副隊長だぜ?」


エンが鼻を高くして言うのにクルックは苦笑いで答えた。


「いいや、Fだよ。話にならない。道場では歴代最強と吟われたくらいだ。多分うちの隊長と同レベルか、それ以上だ」


「マジかよF!!」


うっ………急に視線が集まってきた。何だか恥ずかしいな。


「じゃあF君が騎士団に入ったらすぐに隊長に成れるんじゃ?」


「いいや!Fは白狼ごときに収まる器じゃないね!」


ドッぺルが声を大にして言う。“ごとき”って、仮にも副隊長目の前にして言う台詞じゃない。


「やっぱりFは問題屋が一番だよ。バカだし」 


「ま、そうだな。隊長って品格じゃねぇや。ホーコーオンチだし」


「な、何だと!?」


ちっ、好き勝手言いやがって。


楽しげに笑う声が店内に響く。


いつのまにか雨も上がっていた。

こんにちは。ななるです。


ここのところ平和な日々が続いて………たらいいなぁ。今日も、問題屋は平和です。


さて次回。次回はリンナと“あの子”が女子会です。


次回があれば、またお会いしましょう!

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