D-63:進みたくて
D-63:進みたくて
墓参りのあと、クルックは軍の宿舎に寄ると言って先に帰り、リンナも屋敷に戻っていった。
Fが問題屋に帰ると、ドッぺルがソファに座って何かを読んでいた。
「あ、F、おかえり。祭りの方は盛り上がってた?」
「あ、ああ………それよりお前、大丈夫なのか?」
「え、何が?」
「いや………」
バルスチアに撃たれたあと、ぐったりしてその上体が縮んでいたじゃないか………とは流石に言えない。
「ああ、体が縮んでいたこと?いやあ、いまだに信じられないね!まさかそんなことが起きていたなんて!」
ふぇ!?ちょちょちょ………!
「き、気づいていたのか?」
「さっきね。起きたときに子供服おいてあるし、置き手紙あるし、………あとこれ!」
そう言ってドッぺルはさっきでいたものの表紙をFに見せた。
「F日記!」
「え、あ──勝手に読むんじゃねぇえええ!!」
光の早さで取り戻す。
くそ、隠していたのにどうやって見つけたんだよ………
「F日記を読んでたら、前にリンナが指輪で俺を襲ったときのことが書いてあってね。たしか………『かむいマジかわ!あんな弟欲しい!弟欲しい!妹でもいい。妹欲しい!』だっけ?流石にぞわっとしたよ………」
「言うなああああ!」
も、もうやめてくれ………Fは両手で顔を覆う。
ドッぺルはクスッと笑うと「そうそうF、」と言って続けた。
「俺は君のドッぺルゲンガー。けれど君みたいに剣は上手くない。だからさ、俺に剣を教えてくれよ。厳しくったって構わない。最低限でもいいからさ、………ダメかな?」
Fにとってそれは思っても見ないことだった。ドッぺルが何を考えているのか全く分からない。
けれど、何故か“面白そうだ”と思ってしまった。
しかし──
「ダメだ」
「え、何で?」
ドッぺルはキョトンとした顔でFを見ている。どこか“かむい”の面影があった。
「だってお前、魔法使えて、剣まで出来たら俺の存在意義無くなるじゃねぇか」
「た、確かに………」
確かに言うな!
「えー、そんな自分勝手な理由知らないよ!いいじゃないか、Fの存在意義なんて端から0に等しいじゃないか!」
「お、お前ふっざけんな!魔法使えなくなったときのお前の方がよっぽどお荷物だっただろうが!」
会心の一撃。どうだ、参ったか!
「………」ドッぺルはしばらくの間なにも言わずに俯いた。
「…あっはは。そうだね、本当にそうだ。………だから、教えて欲しいんだよ?」
弱々しい、正直者の声だった。
なんでそんな顔をするんだ。そんな淋しそうに笑うんだよ?
Fは少しの間考えていたが⁉やがてため息をついてこう言った。
「“お前は俺のドッぺルゲンガー”なんだろ?だったら俺が出来ることをお前が出来るようになる必要なんてない」
「──それはどういう──?」
「だから、必要なときは俺を使えばいい。俺に頼ればいい。二人で一人。それで充分だ」
ドッぺルは一度驚いたような顔をして、そしてすぐに何か納得したのかまたいつも通りの笑顔に戻った。クスッとくすぐったく笑う。
「………なんだよ、それ。カッコつけてるつもり?」
「うっせ」
ハハハと声をあげて笑うドッぺルにつられてFも笑った。
今日も問題屋は賑やかだ。
こんにちは。ななるです。
いやあ、一月は忙しいですね!
メイドインアビスの映画に行って、fateの映画に行って、またメイドインアビスの映画に行って………ああ、素晴らしき一月!
皆さまにも充実した冬が訪れますように!
次回があればまたお会いしましょう!




