To→D:赤い日①
To→D:赤い日①
その頃は何故か「白」をとてつもなく身近に感じていた。
分かりやすく説明しろと言われても困ってしまうが、とにかくFにとって「白」は自分の存在と切り離すことのできないものだと、訳もなく感じていた。
どこに出掛けても白いものばかりが目にはいる。青くすんだ空を見上げても、無意識に白い雲を探してた。白い牛乳や白い綿菓子を食べるときは何故か物足りない気分になった。
まるで自分は将来「白」に等しいものになる、とでも錯覚していたのだろうか?
だがそんなことはなかった。
自分はどうしようなく、「赤」なのだ。
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その日の朝はいつにもまして気分がよかった。なにかいい夢でもみたのか覚えてないが、鼻唄混じりに朝食の準備をしていると他の道場生の奴らからからかわれたことは覚えている。
基本的な家事が終わり、やることもないから練習に出ようかと立ち上がったとき、音声通信魔道具(今では電話と呼ばれる)が音を出した。
リンナからだった。
「ねぇ、Fおはよう!今空いてる?暇でしょ?どうせ剣振る以外やることないでしょ?──ふふーん!そんなあなたに幼馴染みの私がいいところへつれていってあげるわ!中央広場で30分後ね!じゃっ!」
「おい、待て──」
プツンっ。ツーツー………
「たくっ、あいつは………」
とはいえ丁度いいと思った。練習に出ても誰も相手にならなくてどうせ一人で剣を振るだけになる。
それに誘われたら行く、それが最低限のマナーだ。たぶん。
仕度をしていると父、Eが部屋にやって来た。
「どこか行くのか?」
「ああ、リンナに呼ばれた」
「ほぉーォ。天才さんは余裕ですなあ」
皮肉めいた言い方に少しムッと来たから、
「可哀想だなぁ、優秀すぎる息子をもった父親ってのは!」
なんていってしまった。
父はかなりそれが胸に刺さったようで、歯軋りをしながらひきつった笑顔でこう言い返してきた。
「そ、そんなに言うなら、一度手合わせでも願おうか。まだ師範は俺だからな。そうやすやすと負け続けるわけにもいかねぇ」
「いい年したおっさんが何言ってんだ。それに今お前に構ってる暇なんてねぇよ」
そしてそのまま出ていこうとすると、こんなことを言うもんだから仕方がない。
「──おい、逃げるのか?」
それは一種のおまじないみたいなものだ。やつもそれを言うときはニヤニヤしている。
「………誰が逃げるってんだよ」
そう言って木刀をもって練習場にいく俺も笑っているのだから仕方ない。
勝負は一分もかからなかった。
「──全く。年のクセに無理すんじゃねぇよ」
父は床上でうちふしていた。余程のショックだったのか、ピクリとも動かない。
「おいおい、F、少しは手加減してやれよ」
「ははっ、師範いきしてねぇーんじゃね?」
いつものことなので、他の道場生も笑っている。
「じゃ、今度こそいくからな。あと、そこで寝てると皆の邪魔だ。どけ」
俺がそのまま行こうとすると、後ろから大きな声で「待て」と聞こえた。父が顔だけあげている。
「これを持ってけ」
そう言って俺に投げてきたのは、指輪だった。
父愛用の転送指輪。もとはたしか傘を携帯するものだったっけ?いや、料理用か?
「悔しいが、もう俺はお前に勝てん。親を越えた証として、それを託そう」
「は!?もっとまともなものないのか?」
「ぐぅ………ま、そのうちな………それから、今日は大雨が降るぞ。傘を持ってけ」
空は雲ひとつ無い快晴である。
「何寝ぼけたこと言ってんだ、じゃあな」
そして俺は傘を持たずに広場へ急いだ。
──最後くらい、言うことを聞いておけばよかったな。
こんにちは。ななるです!
遂に「To→D 」を書くときが来ました!三、四話ぐらい続く予定です。Fの引きこもりの原因となった出来事とは一体………?
そして!私ななるがツイッターをはじめました!
初ツイッターで何したらいいかまるでわかりませんが、遊びに来てくれたら嬉しいです!
https://mypage.syosetu.com/?jumplink=https%3A%2F%2Ftwitter.com%2F6b2wXV8Obp79y1k%3Fs%3D09
それから、もう1つ!
「サンセットオレンジ」という小説を新しくはじめました!是非お越しください!
次回があれば、またお会いしましょう!




