D-55:遅刻の騎士団
D-55:遅刻の騎士団
広場には既にたくさんの人集りができていた。
特設ステージではクレアが、今回渡されるブルーハイヒールについて説明している。ステージを離れるとそれを囲む様に屋台がいくつも並んでいた。
まさに“祭”。
今自分がこの喧騒の中にいるなんて些か信じられないな。
「おいFっ!まだ時間あるから屋台で何か食い物買おーぜ!」
忙しいやつだ。もう少し落ち着いていられないのか。
「よぉしエンっ!時間の限り食っていくぞ!まずは焼きそばだあっ!」
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数分後。
「──F、何か言うことは?」
「……ごめんなさい……」
「全く、そろそろ自覚持てよ、方向音痴。『焼きそばだあっ』とかいって真反対に走っていったあげく迷子になりかけるなんて……子供かっ!」
もう言わないで……。と両手で顔を覆う。
「いくら祭とはいえ、もう少し落ち着いて行動しろよ!」
「肝に命じておきます……」
まさかさっきの言葉が自分に返ってくるとは。反省しよう。
「おっ、ステージから誰か出てきたぞ?」
フラッタ家のメイドのニカだ。
ニカは一度会釈をして、マイクを使ってこう呼び掛けた。
「9時30分から開かれる予定だった返還式は、白狼騎士団がまだ到着されていないため、時間をずらすこととなりました。もうしばらくお待ちください」
何かあったのだろうか?
まあ、それより──
「──おい、聞いたか?」
「聞いたぞ」
「「あともう少しは遊べるぜ!へっへっへ!」」
──────────────
フラッタ北、タートネイク入り口前。
「クルック副隊長!」
「どうしたの?何か分かった?」
「ええ、おそらく、フラッタ全体を囲むように魔導障壁が張られていると思われます。しかも、かなり高精度の」
「そっかあ……で、隊長は?」
「それが……まだお目覚めになりません」
「うーん……」
午前9時30分、白狼騎士団第二部隊はフラッタの北の縁で立ち往生していた。フラッタ内部に入ろうとすると見えない壁に阻まれて進めないのだ。分析の結果、高精度の魔導障壁のせいというが、それを壊すことが出来る者は誰もいなかった──一人を除いて。
「ったく、いつもいつも人をたよりやがって。ちっとは自分で何とかする気はねぇのかよお前ら」
「ゲンゲル隊長!」
「人がせっかく気持ちよく寝ていたってんのに……ったく、かむいのやつ、また面倒くさいことしやがったな……おい、報告はあっ!?」
「はっ!目の前の不可視魔導障壁は、おそらく厚さ10㎝、フラッタ全体を半球を成すように張られているものと推測されます」
「くそ、それぐらいのノーマル品は自分等でぶったぎ、れ、よおっっ!」
パァァアアンっ、と銀色のソレを一振り。
「ほら、いくぞ」
そう言って、その男は振り返らず真っ直ぐ進んで行った。
部下たちも彼に続く。
「くそ、あんまここには来たくなかったんだがな……あのヒゲじじい、人をコキ使いやがって」
黒い髪に赤い瞳。見た目としては16歳。
第二部隊を率いるその男の名は、“ゲンゲル”という──
こんにちは。ななるです。
そろそろハロウィン!
ということでハロウィン特別回をもうけよう(生きてれば)と思います。
ハッピーハロウィン!
次回があれば、またお会いしましょう。




