D-53:フラッタの赤い瞳の少女
D-53:フラッタの赤い瞳の少女
16年前、私はフラッタ家の次期領主としてフラッタでは不吉の象徴とされる赤い瞳をもって産まれた。同時に私を産んですぐに母が死んだものだから屋敷内での私の印象は最悪だったという。
何人かの従者が屋敷を出ていった。
私は父に屋敷を出ることを禁じられた。
町民や外の町の領主たちには「とても病弱な娘だから人と会わせられない」と説明されていた。
まだその頃はそれについて何も思わなかった。
屋敷を窮屈だと思わなかったし、外に出たいとも思わなかったから。
ただひとつだけ不満なこともあった。
ときどきやってくる道場師範の息子。
私と同じくらいの歳で、私と同じ赤い瞳をしているのに彼は自由に外に出ていろんな人に会っているという。
私はその彼とも会うことは許されていなかったから、当時はまだ彼の名前も知らなかった。ただ、遠くからそっと見るだけ。
楽しそうな彼を見ていると無性にイライラとしたのだ。
ある夜、母──いや、かんなが私にある昔話を聞かせてくれた。
「フラッタの剣士」。
その日は私が途中で眠ってしまったから次の日の夜にかんなはもう一度説明してくれた。
「リンナは将来、フラッタの女王さまになります。次の女王さまが不吉な目をしているなんて町の人に知られたら皆混乱してしまうでしょう。もしかしたらあなたとあなたのお父さんを殺しにくる人が現れるかもしれません。だから、皆であなたを守っているのですよ」
かんなはきっと「愛しているから、守っている」と伝えたかったのだろうけど、そのときの私には「隠されている」という印象だけが酷く大きく心に残った。
それから私はよく窓の外を眺めるようになった。
屋敷の窮屈さに気づいてしまった。
もう昔の私には戻れない。籠の中では満足できない。
ただ、憧れに満ちた目で外に思いを馳せるのだ。
その頃父がよく外に出ることが多かったから、余計に思いを膨らませていたのかもしれない。
ある時、父が私にあるものをプレゼントしてくれた。
黒く色の入ったコンタクトレンズ。
当時はルワーユにしかない代物で、父が「やっと手に入った」と言っていたのをおぼえている。
父は私の外出を許す代わりに、次のことを課した。
「人前で絶対にそれを外してはならない。お前は未来のフラッタの領主だ。民の信頼を損なってはならない。」
次の日が待ち遠しくて眠れなかった。
かんなもその時は私を寝かすのを諦めたようで、私が疲れて眠るまで私の妄想話を聞いてくれた。
こんにちは。ななるです。
土曜に間に合わなくてごめんなさい……
急に寒くなって体がポックリいきました……
今回は少し切れが悪いですが許してください。次回で回想シーンは一旦終わりです!
次回があれば、またお会いしましょう!




