D-49:夢昔
D-49:夢昔
──ああ、またこの夢か。
それ以上、何も考えずにただボンヤリと辺りを見渡す。──と言っても、辺りは一面真っ白け。白が無を抱いて存在する、始まりの夢界。
俺がここにいるということは、体の方は寝ているということか。
大方、魔力が一気に失われて、不完全なあの体から、心が収まらなくなったのだろう。
明るくも暗くもない永白のこの世界でも、別に何もないというわけではない。
目を凝らしてちゃんと思い出せば、はっきりと見えるはず。
だが、未完成の今の俺では鍵のかかった無数の箱に、モヤがかかったようにしか見えない。
──まあ、いいや。
どうせ、またうつらうつらして、現を待っていればいい。
目を閉じると、何処からか聞き覚えのある声が聞こえた。
「──昔々、ずうっと昔、まだ神様がいた時代、人々はお金や土地のために様々なところで戦争をしていました。」
ひとつの小さな箱からモヤが晴れ、ゆっくりと鍵が開いていく。
目を閉じているはずなのに、なぜだろう?
中身がゆっくりと見えてくる。
「──戦争、といっても村と村が戦う、とても小規模なもので、その後に起きる、いわゆる『世界戦争』とはかけ離れたものです。
そんなある日。当時一番強かった村で不思議な子供が生まれました。
髪も皮膚も瞳の色も、全て真っ白な男の子。
その子の母は、その子を生むと同時に死んでしまいました。次の日にその子の父も死にました。兄弟はいません。」
何も考えず、ただたんたんと物語を見ていた。
何も思わず、考えず。
きっとこの辺の感情も外に押し付けてしまったのだろう。
「『さぁ、行こう。新しい場所で、新しい名前をやろう。古きは消え、新しい世界を夢見よう。』」
全部を聞き終えたとき、彼女はそこにいた。すぐそばにモヤがかかって見えないけれど、確かにそこにいるとわかる。
ああ、──。
その声は音にならなかった。
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夜。
明日はお祭り。大事な役目有り──。
なのにっ!
眠れない。
今夜だけじゃない。
ここのところ、リンナは殆ど眠れていない。
今も熊の着ぐるみの頭を抱いて、ベッドに腰を下ろしている。
横にすらなっていない。
カーテンを閉めており、月の光も入ってこない真っ暗な部屋。
それは部屋主の心の様子に勝るとも劣らず。
ブルーを越えたブラックが彼女の心を覆っている。
「?」
風が入ってきた。
窓もドアも閉めているのに。
その風はカーテンを開き、一筋の月光を部屋の中へと届けた。
「……綺麗な月。」
満月から数日たってレモンのような不格好な形だが、曇天の彼女にとってはそれはそれは美しく写ったのかもしれない。
──あれ?
前にも似たようなことがあった気がする。──まずこんな風に風が入ってきて、あ、そうそう、そうやって月の光が人の形を造って──って、
「え!?」
月の光が窓際でひとつの塊となって姿を変える。
それはゆっくりと人の形を成し、私と同い年くらいの女の子──というか、私そっくりの女の子になった。
思わず、声をかける。
「ママ?──じゃ、なかったわね」
久しぶりに見たその姿は10年以上経っても全く変わっていない。
──────────────────
“ああ、かんな、久しぶり。”
ただ、それだけが言いたかったのに。
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「久しぶりね、かんな」
私がそう声をかけると、彼女は寂しそうに笑った。
「ええ、リンナ。お久しぶりです」
そう言って、彼女はゆっくりと私に近づき、隣に腰を下ろした。
こんにちは。ななるです。
始まりました!「オープニングマーチ編」
いきなりのシリアスパートですが、お許し下さい。オープニングマーチ編ではリンナの秘密やFの過去などにゆっくりと触れていきたいと思います。
そして!
次話で50話!
読者の皆様、本当にありがとうございます!
では、次回があれば、またお会いしましょう!




