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D-48:Response



D-48:Response




リンナは俺を見てハァ、と息をついて近くにあった椅子に腰を下ろした。


「──で、何があったのか教えてもらおうかしら。アイツがあんなになるなんて、一体何があったのよ?」


俺は今夜の出来事を事細かに話始めた。


────────────────


『聞け、F!!』


ドッペルの声だ。だけど、そっちを見ても奴はピクリとも動かない。


「さあ、どうしたのかしら?私の声が聞こえないの?早くしないと、動けないドッペルさんにさらに穴が空いちゃいますわよ」


完全勝利の笑みを浮かべるバルスチア。


『聞くんだ、F。これから、簡潔に作戦を伝える。その通り動いてくれ。まず、この後音をたてて木刀を床に置く。そこから10秒後、俺が前方向に突進する。奴らは間違いなく一斉に撃ってくるだろうから、俺が壁になって道を開ける。君はその瞬間に敵の陣形を崩し、俺を抱えてワープゾーンに行ってくれ。既に細工がしてあって、一度だけ二階へ飛ぶようになってる。俺らが飛んだ後を追ってバルスチアさんたちは俺の仕掛けた罠に引っ掛かるだろう。二階にはリンナがいる。あとはリンナに従ってくれ。』


迷っている暇は無さそうだ。


手から離れた木刀がカランと音をたてた。

カウントダウンを始めると共に、俺はハッとした。


その作戦じゃ、ドッペルは──。


「ホホッ、素直ね。……さあ、手を挙げて!」

バルスチアのその言葉はドッペルの声で殆ど聞こえなかった。


『大丈夫。俺は死なないし、()()()()。だから君は君自身を信じていればいい。──俺は君の何だったか、忘れたのかい?』



──3、

──2、


「──イチっ!!」



鉄砲玉のような勢いでドッペルが起き上がり、そのまま前方向に駆ける。

バルスチアは一瞬で場を判断し発砲命令を下す。

360度、全方向から同時に音速の物体が飛んでくる。


契機は一瞬。


俺は進むドッペルをそのまま前に押し出し道を作る。

弾丸の円はドッペルを障害に一刹那の歪みを拗らせる。

全てをすり抜け、指に光を纏って得物を召喚し、音より早く、敵の背後に回り込む。



──全く。だったら(ひと)を助けてんじゃねぇよ。この、この──

「──こンの、ドッペルゲンガーがあぁぁあああっっ!!」



握った刀の棟を黒服の背に打ち込み、弾丸の方へと凪ぎ払う。


「じゃあな」と言って、俺は俺を抱えて駆け抜けた。


────────────────


「──だいたい分かったわ。取り敢えず、ドッペルにはちゃんと感謝しないとね──不本意だけど。」


と、顔を歪ますリンナを見て苦笑した。


「ああ、そうだ──たしかここに、」


俺はポケットからブルーハイヒールを取り出した。


「アイツの依頼はこれで終わりってことでいいよな」


そう言って、リンナにその青い石を手渡した。すると──


「えっ、何!?」


リンナがブルーハイヒールに触れたとたん、石が眩い青光を強く放った。

部屋中が青で満ちる。

満ちて、充ちて、溢れてゆく。


その途中、リンナの体に異変が起こった。


「イヤっ……何?……アツっ……アツイアツイアツイアツイっ!」


リンナは石から手を離しその場で倒れ、もがき苦しむ。


自由になった石は、独りでに宙に浮く。

一層、その蒼結晶は光を増し、もはや目も開けていられなくなった。


「ああ、ああああああっ!!!」

「リンナっ!!」


片目を少しだけ開いてリンナを探す。


青い光がリンナの左目に入り込んでいく。

リンナは左目を抑え、悶え暴れる。


一体全体何なんだっ!?


やがて全ての光がリンナへと入り終わる頃、リンナは声も上げずただじっとしていた。


そして、急に立ち上がったとき、黒い何かが、リンナの目から落ちた。


リンナはサッと俺に背を向け、言った。


「──ごめんなさい、今日は帰って。今回は本当にありがとう」


それだけ言って、真っ直ぐ二階へ上がろうとする。


「待てよ、大丈夫なのか?」

俺が肩に手をのせると、リンナはバッと振り返った。


涙で濡れたその左目を見て、俺は声を失った。


“世界中の何よりも正しい、本能に訴えるような青”。


「──ごめんね、F──」


そう言って、リンナは二階へ駆け上がってしまった。


俺には引き留めることすら、出来なかった。

こんにちは。ななるです。


すみません、出来ました!

時間無いとか言いながら、有りました!

書きました!


さて、今回で一応は長編終了です。

『ブルーハイヒール編』またの名を『二人の依頼人編』楽しんで頂けたでしょうか?


次回からも少し長めのお話です。


次回があれば、またお会いしましょう!

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