D-46:想定外
D-46:想定外
「──で、今日。俺が四階の窓を割って混乱を招き、二階からゆっくりクレアさんを向かわせる。三階を真っ暗にしてそのままブルーハイヒール取り返せば成功──とクレアさんには伝えたけど、俺としてはクレアさんが捕まって、バルスチアさんが正体を自分から出してくれることを待っていたんだよ。ほぼ、計画通りだ」
ドッペルはそこまで話すと両手を組んで、うーんと伸びをした。
バルスチアの方は意外にも最初から最後まで落ち着いて聞いていた。
俺のいないところで、そんなことが起きていたなんて。
未だフワフワとした理解しか出来ていない。
「なるほどね。……ふふ、ホホッ……オッホホホホホッ!!」
バルスチアが甲高い声で笑う。
「──それで?勝ったつもりかしら?あの女が犯人だと分かったとたん、そちら側につくのではないかと、あなたたちを疑っておいて正解でしたわ!」
ザッ、と黒服ボディーガードが俺達を中心に円になる。
「準備を──」というバルスチアの号令と共に彼らの胸元が光った。空中から銃が生えてくる。召喚魔法の類いか。
三十秒たたずで俺とドッペルは無数の銃口に囲まれた。
「全てあなたの言った通り。私は一年前、テトラスロット家に命じられてこの町にやって来た、テトラのスパイ。あなた方には何も恨みもございませんが、命令の邪魔であるなら仕方のないこと。──消えていただきますわ」
オッホホホホホ……甲高い声が黒い部屋中に響き渡る。
「よせ、バルスチア。取り返しのつかないことになるぞ。」
「あら、Fさん。命乞いかしら?──ご安心を。命までは奪いませんわ。あなたたち二人だけは殺すなと命じられていますの」
殺すな?
「さあ、観念をし。大人しくすれば無駄に痛め付けなくてすむの。」
カチャッ、と黒服たちが銃を構え直す。
俺も木刀を構えたが、ドッペルに下げさせられた。
「全く。見くびられたものだね。俺に銃なんて聞かないよ?観念するのはそっちの方だ」
いつの間に展開していたのだろうか。
俺とドッペルの足元で円形の魔方陣が青白く光輝き、一瞬にして光の壁を築く。
スクナメルジャを止めるときに使ったものだ!
「銃弾なんてひしゃげてしまうか消滅するかのどっちかだ。いくらテトラスロットから貸し与えられた兵士を使おうとも、相手が悪すぎたね」
ドッペルも笑っているが、同様にバルスチアも笑っていた。
「──そう。なら、撃っても問題ないわよね?」
──。
たった一瞬。
何の躊躇いもない。
バルスチアがその口角を一層つり上げて、右手を挙げたその瞬間に正面の黒服がトリガーを引いた。
真っ直ぐドッペルに向けられたその銃弾は、青白く薄い魔法の膜に触れたとたん、全ての光を吸収し、青い光の渦を巻きながらドッペルの右腕へと突き刺さる。
「、グッ──な、何で?どうして……?」
ドッペルは右腕を抑えて顔を歪ます。
「あら、よく立っていられるわね。魔法もろくに使えないでしょうに。」
バルスチアがまた、高い声で叫ぶように笑う。
「ドッペル!」
俺がドッペルに触れた瞬間、崩れるようにその場に倒れた。
「、グゥ……ははッ……ま、まさか銃弾が魔緘石で出来ているとはね……どうやら嘗めていたのは俺の方だったようだな……」
手に力が入らないのか、右腕を抑えていた左手がだらんとほどけた。
鮮やかな赤い血が流れ出る。
赤い、赤い、アカイアカ、イ、アカ、イアカイ……アカイ……。
──あ。いけない──
俺は目をつむって上着を脱ぎ、瞼を閉じたままドッペルの腕をそれでキツく縛った。
「ふふ、Fさん。心配しなくともあなたが私の指示に従ってくれれば、ドッペルさんも助けられますわ。さあ、まずその木刀を置きなさい」
俺は真っ直ぐにバルスチアを見据える。
黒服と目があった。
さあ、どう動くか──。
こんにちは。ななるです。
だんだん展開がアツくなって、ほしいなあ(願望かよ)
今回の話を書いてて「ドッペルさん、ダッサ」というのが一番の印象です。(ドッペルさんに励ましのお便りを送ろう)
さて、あと少しで50話です!頑張って行きます!
次回があれば、またお会いしましょう!




