D-43:クレアの依頼 ①
D-43:クレアの依頼 ①
「──全く。どういうことか説明してもらえるわよね──クレア・ハイヒールさん?」
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クレアは黒服のボディーガード達によって椅子に縛り付けられた。
ところどころさっきの爆発での火傷したあとが見える。
「黙ってないで、答えてちょーだい?」
挑発的なバルスチアの質問に、クレアはただじっと黙ってバルスチアを睨んでいる。
格好はいつも通りのクレアだ。別に怪盗らしい姿はしていない。
普段のクレアから考えて、本当に彼女が怪盗なのか信じられなかった。そして、この様子を見るに何か事情があるに違いない。
「ふふっ、お利口ね。つまらないほど何も言わないわ。でも、もう貴女は終わり。私の勝ちよ。──Fさん、後はもう大丈夫。明日お金は持っていくわ。帰って頂いて結構よ」
帰る?このまま?
まだ何もわかっていない。本当に彼女が怪盗なのか、だとしたら何故そんなことをするのか、そして何故あれほど大事だと言った“青い牙”をバルスチアは爆破したのか。
「何してるの?帰って」
さっきよりも声が鋭い。
他に何も言わせはしない、そんな強い意思が見える。
「──帰らない。バルスチア、俺たちに何か隠しているんじゃないか?何か聞かれては困ることでも──」
『パンパカパーンッ!大正解ッ!』
刹那、辺りが眩く光る。
あっはは、という聞きなれた声が聞こえてきた。
目が慣れてきた。
忘れてた。アイツも来てたんだった。
光がおさまり、はっきり見えだした頃には、もうそこにはクレアの姿はなかった。
「──大変ながらくお待たせしましたッ!謎だらけの名探偵、皆怖がるドッペルさんの登場だあっ!」
クレアのいた場所にドッペルがいる。
魔法で入れ替わったのだろう。
バルスチアはひどく驚いたようで、声が上擦っている。
「なっ、ドッペルさん!一体どうやって……。あの女は!?あの女を何処にやったの!?」
「今頃安全な場所で縄を解いてもらっているよ。残念だったね。あなたの計画は大大大大・大失敗だよ!」
ドッペルがゆっくりと歩き出す。
バルスチアは尻餅をついたまま仰け反り、黒服のボディーガード達はその前に立ちはだかった。
そんなことはお構い無しで、ドッペルは堂々とスルー。
ショーケースの残骸まで歩くと、何かを拾い上げてそれをしげしげと眺める。
クスッと笑った。
「──ジャーンッ!F、これなーんだ?」
ベリーブルーの深い青にところどころ光る七色、牙というよりつららやハイヒールを思わせるのその形……
「青い牙だ!壊れてなかったのか!?」
「壊れるどころか傷一つついてないよ。ほらっ」
ドッペルは石を俺の方に放り投げる。
おっとっと。
……本当だ。どこもかしこも傷が無い。間近で熱を浴びたのに焦げてもない。
「そん、な……」
そう言って崩れたのはバルスチア。
それを見てドッペルは満足そうに頷いて話し出した。
「ちなみにそれは青い牙なんて名前じゃないよ。バルスチアさんの一族のお守りでもない。正しい名前は“ブルーハイヒール”。昔ルワーユ王からフラッタ領主に友好の印として贈られた宝具だ。今度騎士団が回収しに来るのもそれ」
リンナが言っていた話のことか。
しかし、何故そんなものがここに?
「昔それを贈られたフラッタ家はある一族に守るように言いつけた。
その一族こそハイヒール家。
先祖代々、クレアさんの代まで言いつけ通り守ってきた。
しかしある日、何者かにブルーハイヒールを盗まれてしまった。
犯人は言わなくても分かるだろ?
バルスチア・ジュエリー経営者であり、そして──テトラのスパイ。合ってるよね、バルスチアさん?」
バルスチアは黙って俯いたままだ。
「何故奪ったかはおいおい話すとして、
ブルーハイヒールを奪ったバルスチアさんはフラッタ宝石店、クレアさんのところに行ってこう言ったんだ。
『返して欲しければ次の満月の晩に一人でうちの三階にこい。この事は誰にも話すな。他に知らせたら石はただでは済まない』
多分、こんな感じ。
クレアさんは相当焦った。
代々言いつけ通り守ってきた物が人質に取られたんだ。
バルスチアさんに言われなくても、そもそも誰にも相談できることじゃないよ。一人で悩んでいるとさらに追い討ちを受けた。
『今度、ブルーハイヒールをルワーユに返上することになった』ってね。リンナだよ。
どうしよう、まずい。返せない。
バルスチアさんの指示に従ったところで返してくれるわけがない。
このままでは店も自分も危ない。
──本当はね、俺がクレアさんの様子を見に行った時はね、彼女、腹なんか壊してなかったんだ。
狂ったように笑いながら、ただひたすら涙を流していたんだよ──」
こんにちは。ななるです。
次回から少し時間が戻ります。
あと少しで50話です!
毎週更新だったなら50話というのは一周年記念ですよね!(謎理論)
ということで、何か企画をしたいと思います!
今のところ考えているのは、登場人物まとめや番外編ですが、何か「こういうのして欲しい!」とか「こんなシチュを見たい」とかあったらバシバシコメントしてくださいね!
まぁ、コメントなくても好き勝手するんですけど……(哀)
さ、さて、次回。「約束の日の二日前」
次回があれば、またお会いしましょう!




