D-4:フーイズヒー?
D-4:フーイズヒー?
「え、F!」
いた!黒い髪に赤い瞳。細い路地に入っていく。追いかけなきゃ。
リンナは急いで店から出て追いかける。果たして、それはFなのかドッペルなのか、それとも──
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フラッタ家。先祖代々この地を治める。れっきとした名家である。どのようにして始まったのかは分かっていないが、この超魔法発展社会で剣と拳を重んじるという、武道大家でもある。その象徴として、大切にされていたのが西の森の道場である。
初代師範「B」が開いた道場は、フラッタ家に町の公認道場として名を拡げ、様々な地方から道場に人が集まっていた。今ではF一人となってしまったが。
何があったのかは、またいつかの話の種にしよう。
さて、今日は誰から物語を展開させようか。
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『俺は君をまだ殺さない。君は、精一杯生きねばならない。』
あれから数日。
「あっはは。F、この番組面白いよ、君も見てごらんよ。」
まだドッペルは、この道場に居るのだった。
「おい、ドッペル。いつまでうちに居るつもりだ?」
数日間、特に何事もなく、ただの居候と成り欠けている自らのドッペルゲンガーに今更ながらの質問をする。
「何か目的でもあるのか?」
ドッペルはクスッと笑って、
「何だよ、今更。俺がいたら何か困るのかい?」
「食材が足りない。」
最近、リンナがうちに来ないのだ。何かあったのだろうか。
「自分で買いにいけばいいじゃないか。」
うぐ、それを言われるとキツい。
「これを機に引きこもりも卒業しなよ、ね?」
「うるせぇっ。と言うかお前も働け!そうだ、ドッペル。お前が買い物に行ってこいよ」
居候の癖に生意気な。
「無理だよ。場所わかんないもん。」
はあ?
「フラッタの町に行ったこと無い。」
「ちょっと待て。どういうことだ?リンナが言ってたぞ。最近俺そっくりのやつが町をうろついているって。お前じゃないのか?」
もしドッペルの他にも、俺そっくりのやつがいるとしたら──ど、ドッペルゲンガーが二人!二倍死ぬ!
「確かに、俺はドッペルゲンガーで姿形はFそっくりだけど、瞳の色が違う。この町でそれがどういうことか、君にならわかるだろう?」
ドッペルは、俯いて吐き出すように言った。
「そいつは俺たちのどちらでもない。」
こんにちは。ななるです。
この作品は、日に日に一話が短くなる不思議な話です。
今のところほぼ一日一話ペースですがそろそろ、手が止まってくる頃です。だんだん次回が遠くなってく……
さて、次回「レッツゴーミラージュ!」
次回があれば、またお会いしましょう!