D-36:怪盗アレクの問題
D-36:怪盗アレクの問題
チリンチリンッ。
昼過ぎに問題屋のドアベルが軽い音を鳴らす。
その依頼人はド派手なピンクのドレスを纏ってやってきた。
「ゴメンアソバセっ!Fさん、ドッペルさん。どうか私の話を聞いてくださるかしら」
『バルスチア・ジュエリー』店主、バルスチア・ミールだ。
──────────────
「──で、今日は一体?」
ドッペルがバルスチアの応対をしている間、俺はせっせと茶を沸かす。
正直、応対なんてどうしたらいいものかわからない。
こういう時、ドッペルの存在意義を感じるのだ。
「ええと……まずはこちらを見ていただきたいのですわ」
バルスチアがドッペルに何かを渡したようだ。
「へぇ、凄い!なかなか粋なことをする人もいるもんだなあ」
む、気になる。
「感心している場合ではありませんわ!私、不安で不安で……」
グツグツ……沸いた!
リリィに分けて貰った茶葉を使って紅茶の完成。
「どうぞ」
ありがとう、と言ってバルスチアが紅茶を一口。
まだ熱いだろうに。
「あら、美味しい!」
やつの舌はイカれているらしい。
俺はドッペルにさっきのものを見せてもらった。
『予告状
次の満月の晩。青い牙を頂きに参上します。
怪盗アレク』
「こ、こここ、コレはもしかして!」
「ん?どうしたの、F?」
「コレを書いたやつは絶対馬鹿だ!なんでわざわざ犯行予告なんて出すんだよ。馬鹿としか言いようがない」
ゴホッゴホッ、とむせかえるバルスチア。
一方、ドッペルは呆れた目で俺を見て言う。
「Fにはロマンってものがわからないのかい?怪盗っていうのはね、予告状だして予告通りズバッと盗むのがカッコいいのさ、たぶん」
お前もよくわかってねぇーじゃんっ!
「──ところでバルスチアさん。『青い牙』と『怪盗アレク』には何か心当たりある?」
俺もドッペルも基本、町内の人間に対して敬語は使わないが、相手が“依頼人”となると何だか変な感じだ。
「怪盗の方については噂すら聞いたことありませんわ。しかし、『青い牙』というのは、うちで昔から所有している青色の宝石のことです。フラッタに来る前から一家のお守りとして保管していましたのよ」
そう言いながら、バルスチアは一枚の写真を出した。
青い宝石だからサファイアを想像していたが少し違うようだ。深い青はサファイアそっくりだが、ところどころ七色に輝いている。まぁ、不純物が混ざっているだけなのかもしれないが。
形は、“牙”と言うよりは“つらら”……いや、もっと他に似ているものがあった気がする。
俺がうーんと唸っていると、隣でドッペルがクスッと笑って言った。
「へぇ、これをお守りに……牙と言うより“ハイヒール”見たいですね」
おお、それだ。
ドッペルの言葉に、バルスチアがぴくりと反応したように見えた。
「……まぁ、そういう見方もできなくもないですわね。でも名付けたのは昔の人、私には関係の無いこと」
バルスチアが妙にそわそわしているのは気のせいだろうか。
「とにかく!私の依頼は三日後の満月の日、お二人に我がバルスチア・ジュエリーに来ていただいて、『青い牙』を守りつつ、不審な人物を捕まえて欲しいのですの!絶対に捕まえて、どんな人物か暴くのですわ!」
バルスチアは残った紅茶を一気に飲み干して、こう付け加えた。
「もちろん、報酬はそれなりに──お受けくださるかしら?」
俺は別にいいが……
ドッペルの方に視線を送る。
「わかった。引き受けよう!──ただ、報酬の方は依頼料として半分を今、残りを成功報酬として後からというかたちになるけど、よろしいですか?」
何か違和感のある聞き方だ。
まるで、もう後には引けないことを確認させるような……
「ええ。もちろん。そのつもりでお金は準備していますわ」
その後、書類の手続きを終えて、バルスチアは帰って行った。
ドッペルは楽しそうに札の枚数を数えている。俺もやりたい。
────────────
二人で札で遊んでいると再びドアベルがチリンチリンと鳴った。
ドタドタと迷い無くリビングに入ってきたのはリンナだった。
「ちょっと来て!クレアの様子がおかしいの!」
──また、面倒なことが始まりそうだ。
こんにちは。ななるです。
もう今日は驚きと喜びの連続です!
「レビューきてる!嬉しい!」から始まって、
「ブックマーク増えた!嬉しい!」となり、
「アクセス数やば!」ホクホク……
「ポイント評価ありがとうございます!」おお、
「え、まだ伸びていく!」
最後には「世界が滅ぶのではあるまいか」などと疑うくらい、嬉しいの連続でした!
レビューして下さった方、ブックマーク登録して下さった方、ポイント評価して下さった方……そして何より「うちド」を読んで下さった方、本当にありがとうございます!
これからも応援よろしくお願いします!
さて、今回から「ブルー・ハイヒール編」へと突入しました!チュートリアル以来の長編になります。よろしくお願いします!
次回があれば、またお会いしましょう!




