D-34:チッちゃい!
D-34:チッちゃい!
「──ぬああああっ!やめっ、やめてっ……もう無理、……むぅあっ……」
ドッペルはFとリンナが美味しくいただきました。
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倒れたドッペルを二階まで運ぶのは面倒。
そこで、Fと私はドッペルを一階のソファで寝かせることにした。
そこまでは良かった。何の問題もない。
しかし──
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朝、私はノックの音で目が覚めた。
「──おい、リンナ!大変だ!……ドンドンドン……くそっ、何で開かないんだ。一体全体あいつ何を……おい、聞こえてるか?開けろ、リンナ。大変なんだ!」
えっ、何でFが私の部屋の前にいるの!?
えっ、ここ、私の部屋じゃないわ!
あっ、昨日、問題屋に泊まり込んだんだった……
私は全てを理解した後、取り敢えず身支度をして、そして──ドアの前のタンスやら荷物やらをどけた。
すると、勢いよくドアが開いて、
「お前、どんだけ頑丈に閉めてんだよ!」
と怒られてしまった。
そりゃまぁ、私だって女の子ですし……と適当にはぐらかそうとすると「はあ?」と、更にキレられた。
「それより、大変なんだ。来い!」
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こういうのをまさに“目を疑う”と言うのだろう。
「……え、どういうこと?」
「わからない。俺も朝起きてびっくりしたんだ」
白い髪に、白い肌。五歳くらいの幼い体型。
ドッペルが眠っていたはずのソファに見知らぬ少年が寝ている。
「──もしかして、ドッペルなの?ほら、色は違うけど幼い頃のFにそっくりじゃない?」
「魔力の吸いすぎで縮んだ……とか?」
……。
しばしの沈黙。
白色の少年は「スゥースゥー」と可愛く寝息をたてている。
「──いやいやいやいや、無いって。そんなことあるわけ無い」
「そうよ!そんなおとぎ話みたいなこと──」
いや、待てよ。
「仮にも、ドッペルは『自称ドッペルゲンガー』よ。縮むような変なことがあっても、何か寧ろ納得だわ。」
「……確かに。」
……。
二人に冷たい汗が流れる。
再来する沈黙。
「どうしよう、F!?もしかして私たちとんでもないことをしてしまったんじゃ?」
「どうしよう、リンナ!?こいつ、ヨダレ垂らしてる。可愛い!飼ってもいい!?」
「そうね──て、えぇぇえええええええっ!?」
どさくさに紛れてとんでもない言葉が聞こえてきた気がする。
「ごめんなさい、もう一度言ってくれる?」
「え?だから、飼いたいって……」
「えぇぇえええええええっ!?」
「んんん……」
少年が目を開いた。
「あっ、リンナが大きい声出すから起きちゃったじゃないか」
私が悪いの?
「ここ……どこ?」
声すら幼い。そして一番驚くべきは、その瞳。白だ。
記憶が無いのかしら?
ドッペルとは無関係?
「あれ、お兄さんたち誰?おばさんはどこにいるの?」
「ここはお前の新しい家だ。そして俺はお前の新しい兄、Fだ」
「ちょっと!話をややこしくしないで!──ちなみに私はリンナ。Fの嫁よ」
「お前こそ何馬鹿なこと言ってんだ!」
少年は起き上がってソファから降りた。
さっきは掛けていた布団で見えなかったが、来ている服は明らかに昨日ドッペルが来ていたものだ。サイズがあっていない。
やはり──
「ボクは売られたの?お兄さんたちは“ゴシュジンサマ”?」
えっ?どういうこと……?
Fは微笑んでこう言った。
「いいや。お前が道で倒れているのを拾ってきただけ。だから俺たちはお前を従わせようなんてしない。それから俺のことは『兄ちゃん』と──」
ドーンっ!私はFを勢いよく蹴り飛ばした。
「さすがにそれはキモすぎる!ぞわっとしたわよ!──彼のことは『F』、私のことは『リンナ』と呼んで。わかった?」
少年はコクっと頷いた。
『兄ちゃん』、か。
わかったわ!Fがこの少年にゾッコンな理由が!
昔から家では一人っ子、道場でも最年少だったFは時々『弟が欲しい』と言っていた。おそらくFは、ショタコンなんじゃなくて、自分そっくりの小さいこの子を弟のように見えて仕方ないのだろう。
「お前可愛いなあっ!」とFが少年を抱きしめる。
……どうか、私の考えがあっていますように。神様!
こんにちは。ななるです。
「神様の箱庭」と「うちド」では登場人物の年齢が違うので、出来るだけ差が出るように頑張っているのですが、まだまだ修行が足りないようです……
さて、次回。「こうなったらFを戻すために作者に殴り込みにいかなくちゃ」
次回があれば、またお会いしましょう!




