D-31:ストーキングデート
D-31:ストーキングデート
「──ごめん。待った?っじゃ無いわよおおおっ!」
ドシドシと足を踏み鳴らすリンナ。今日は自慢の長い栗色の髪を一つに束ねている。そして、赤い縁のだて眼鏡。どうやらいつもとは様子が違うらしい。
「あっはは。落ち着いてよリンナ。気づかれちゃうよ?」
そう言うドッペルは灰色のハンチング帽を深く被っていた。
『変装』のつもりらしい。
「というか、あの女一体誰なのよ!子供?やっぱり、Fってばそういう趣味があったのね……!」
しくしく、と涙を浮かべるリンナ。いつにもまして情緒不安定だ。
言うまでもなく、この二人は現在、Fの尾行真っ最中である。
どうしてそうなったかと言うと……
─────────────
「F!遊びに来たわよ!」
リンナは勢いよくドアを開け、真っ先にその異変に気づいた。
「何……その格好……?」
メタリックピンクのハーフパンツ、黄色と抹茶と赤のストライプ模様のカッターシャツ、どうやってついているのか全く判らない緑の羽。
Fの格好……明らかに変だ。変態だ。
「ああ、映画館に行くんだよ。だから相応しい格好をしようと思ってな!」
グッとどや顔でこちらを見てくる。やめて……噴き出しちゃう。
「ど、ドッペル!?一体どういうことなの?何を食べたらこうなるの!?」
すると、やつれた様子でドッペルが現れた。
「やぁ、リンナ。朝、Fに友達から電話が掛かってきたらしくてね。初めて映画館に行くから、恥の無いようにって張り切ってるんだよ……俺が何を言っても聞かないんだ……」
ああ、迷走しているF……いいっ!
じゃなくてっ!
「F、さすがにその格好は……その……ナンセンスじゃないかしら?」
ナンセンスというか、もう絶望的だけど。
「そうか?映画館っぽくて俺はいいと思うんだけどな」
映画館を一体何だと思っているのかしら。
「別に映画館だからって変に考えること無いのよ?むしろ観る側は普通じゃないと映画を楽しめないわ!」
「そうっ!その通りだよ!リンナ良いこと言う!」
ここまでドッペルに同意されたのは初めてだ。何だか気持ちが悪い。
「うーん、お前がそう言うなら、そうなのかもな。よし、着替えてこよう」
こうして普通の格好に戻ったF。準備が出来たようなので二人は見送ることにしたのだが……
「そう言えば、友達って誰?エンかしら?」
「あっ、それは……」
ドッペルがまずった、という顔をする。
Fはそれには気づかないようで、
「ベルっていう、最近あったばかりの同い年位の女の子だ」
と、だけ言って行ってしまった。
え?え、ええ、え?
ベル?女?友達?
え?え、ええ、えええ……
「えええええええええええええっっっ!!」
ドッペルはあっちゃー、と顔を押さえる。
リンナはバッとドッペルの方に向き直り、両肩を掴んで、
「どういうこと?ベルって誰よ!どこの子?最近出来た友達って……その子と映画館に?デート!?デートじゃない!友達ですって?ガールフレンドじゃない!え、ええ?もしかして、そうなの?私が知らないだけで、そういうことなの?ちょっと説明しなさいよ!」
ガシガシと揺らす。
「やめっ……ちょっ……落ちついt……俺にもわかんn……す、ストップ!」
リンナが止まった。
「リンナ、取り敢えず落ち着いて。Fはまだ『友達』としか言ってなかっだろう?Fの性格から考えてその言葉にそれ以上の意味はないと思うよ?」
「そ、そうね。何しろバカだから隠し事なんて出来るわけ無いものね」
ホッと胸を撫で下ろすリンナ。
「なら、やることは一つ。」
「そうだね、俺らはただ待っていれば──」
「尾行よ!尾行!こうなったら調べ倒してやるんだからあ!」
そして今に至るのだった。
こんにちは。ななるです。
気がつけばもう30話を越えていました‼皆さん読んでくださってありがとうございます!
さて、そろそろ『白い少年』の方も完結させて、次の童話シリーズに入ろうと計画中です。
これからもどうかこのシリーズをよろしくお願いします!
次回。「初めての映画館」
次回があれば、またお会いしましょう!




