D-3:アーユードッペル?
D-3:アーユードッペル?
『俺は君をまだ殺さない。君は、精一杯生きねばならない。』
あれから数日。
「あっはは。F、この番組面白いよ、君も見てごらんよ。」
まだドッペルは、この道場に居るのだった。
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前回話した、魔道具についてもう少し詳しく説明しよう。様々な用途があり、人々の生活を支える魔道具たち。基本的に、生活用と戦闘用に分けられる。ただ、戦闘用魔道具は一般の人の所持は禁じられており、持っているとすれば、軍人かテロリストぐらいなものだ。ちなみに前回、Fが使っていた指輪型魔道具は生活用魔道具を応用して使っているだけで、別に彼がテロリストと言うわけではない。戦闘用魔道具はもっと、直接的な殺傷能力が高い。
生活用魔道具は、日本に在るものは基本的に揃っている。無いのは、コンピューター、自動車、くらい。(もっとあるかも)
ほぼ全て同じように『魔道具』と呼ばれ、特別な名前で呼ばれるものは数少ない。しかも、地方によって呼び名も違うので此処で紹介するのは遠慮させていただこう。
ストーリーの中でゆっくりとフラッタの生活になれて頂けたら、と思う。
今日は、彼女の視点から物語は展開する。
Fとドッペルが鉢合わせをしたくらいの時の話である。
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リンナ・C・フラッタ。私の名前だ。『C』が何を表すのか、まだ父は教えてくれない。ただ一つ知っているのは、その名は死んだ母がつけてくれたということだけだ。
父は私のことも、母のこともなかなか話してくれない。どうして私はリンナなのか。どうして母は死んだのか、どうして母の名前すら教えてくれないのか、どうして私は──
「やめた、切りがないわ。」
リンナは身支度を整え、町へ出た。フラッタ家の屋敷から町へは歩いて五分もかからない。
取り敢えず、調べなきゃ。Fのドッペルゲンガーとやらを。
町はすでにいつも通り、平凡な賑わいを見せ、何処にでもあるような平凡な店に、平凡な品揃え、さらには平凡な客が……
「って、これは言い過ぎか。」
生まれ育ったこの町が大好きなリンナではあるが、どこか物足りなさを感じている、そんな毎日である。
「あれ?リンナ様ではないですか。また買い物ですか?」
しゃがれた声。パン屋の店主だ。
「こんにちは。今日もいい匂いね。」
「そうでしょうとも!何しろうちのフランスパンは格別ですからなあ!」
ふふん、鼻を鳴らすパン屋。調子に乗りやすい楽しい人だ。
「あと、ねじりパンもね──でも、残念ながら今日は買い物じゃないわ。聞きたいことがあるの。」
リンナはぐっと近づいて、誰にも聞かれないようにパン屋の耳元で囁いた。
「最近、Fが町に出てるそうじゃない。何処にいってるか知らない?」
「あぁ、その話ですか。Fならさっきもこの通りを真っ直ぐ進んでいきましたな。」
いきなりの大収穫。さっきFは道場で通話していたことを考えて、此処に来るのは時間が無さすぎる。パン屋の店主が見たのはきっとドッペルゲンガーだわ。
「この通りを真っ直ぐね。ありがとう!」
リンナは先を急ぐ。
数分後。
「いない。さすがドッペルゲンガーだわ。」
交差点で立ち止まるリンナ。太陽も高い位置に昇り、人通りも増えてきた。
「こうなっては自力で探すのは無理そうね。」
周りを見渡す。
「あっ」視線の先には先週開いたばかりのレストラン。
まずは、腹ごしらえ。腹が減ってはなにもできぬ。これがリンナのポリシーである。
豚の角煮と本格石焼ビビンバ。
石焼ビビンバから聞こえるパチパチ音、角煮のとろけるような匂い、もくもくと上がる蒸気。
いただきまぁーす!
「はふっ、ぁはつっ」
うぅーんっ!最高!下が火傷しそうになったけど、それを乗り越えて楽しむのが石焼ビビンバよね。
これが、フラッタ家のお嬢様であることを忘れてはならない。
「しっかし、今日はやけに人が多いわね。」
豪快なランチをペロッと平らげたリンナお嬢様は、デザートのプリンアラモードを頬張りながら、窓の外を見た。
「え、F!」
いた!黒い髪に赤い瞳。細い路地に入っていく。追いかけなきゃ。
リンナは残りをコンマ三秒で完食し、少し多めのお代をウェイトレスに叩きつけ、
「釣りは入らないわ。なかなかの腕ね、とシェフに伝えて!」
と言い捨て、店を飛び出した。
これが、フラッタ家のお嬢様であることを忘れてはならない。
こんにちは。ななるです。
この物語はハイファンタジー的な何かです。
ご視聴していただきありがとうございます!
今回は内容的に進みませんでしたが、リンナという人を少しでも知っていただけたなら幸いです。
次回、「リンナ駆け落ちする」ま、しないでしょうね。
次回があれば、またお会いしましょう!




