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D-29:ストロングスピーカー



D-29:ストロングスピーカー



かつてドラゴンロードを名前だけとはいえ治めていたFの道場。その枷が無くなった今、ドラゴンロードはフラッタ家の力もほとんど及ばず、無法地帯となっていた。


そこに最近、テトラ区から店が何店か移店してきている。


フラッタをフラッタ家から奪おうとしているテトラスロット家からすれば、ドラゴンロードを手に入れる絶好のチャンスなのだ。


そして、その勢いはドラゴンロードだけにとどまらない。


フラッタメインストリートとドラゴンロードを結ぶ徒然町が狙われている、というクレアの考えは間違ってはいないのだ。


「──私たち徒然町の民は昔からフラッタ家にたくさん恩義を受けている!店の存続はもはや個人の責任にとどまらない、フラッタの未来がかかっているんだ!」


熱く語るクレア・ハイヒール。勢いに流されて何人かが「おおー」と間抜けた声をあげた。


「だからといって、()()()なんて大袈裟すぎやしませんこと?もしかして私たちの誰かを疑っていらっしゃるのでは無いでしょうね?」


ギャンギャンと甲高い声でバルスチアが反論する。


「ふん、まだ私は『疑っている』なんて一言も言ってない。それとも何か思い当たる節でもあるのか?去年引っ越してきたばかりのバルスチアさん?」


皮肉を含んだクレアの言葉に、キィーっとバルスチアが声をあげる。


「ふぉっふぉっふぉ。まぁ、そう熱くなるでない。今話すべきは『これからの侵入の対策』じゃろう?」


「そ、そーだぜ、姉御。まずは落ち着いて……」


トロイとエンのお陰か、クレアはさっきよりも落ち着いたトーンでこう続けた。


「……とにかく、だ。この徒然町に住むものとして、そしてフラッタに住むものとして、我々は絶対にここを死守しなければならない。皆の意見を聞かせて欲しい。」


シーンと静まり返る店内。


どうすればいいのか分からず、皆うつむいていた。


エンはリリィの方をちらっと見た。


「すぅーすぅー……zzz……」


寝てる。この状況で。机の上に被さるようにして。


う、うーん……。


「可愛いから許すっ!」


「どうした、エン?」


しまった──全員の視線が一気に集まる。


「あっ、イヤ……」


「はいはーい!」


沈黙を破るひとつの声。ドッペルだ。助かった。


「そこまでテトラのことは気にしなくていいんじゃないかな、て思うんだ。今のところ目立った動きはないだろう?」


「おい、ドッペル。俺たちは最近入ったばかりなんだから、あまりでしゃばるな。」


Fが小声でドッペルを嗜める。


「あっはは。確かにそうだ。本当なら一番疑われるべき立場だね。でも、実際疑われてなんかいない。それはFが道場の後継ぎであることやリンナやフラッタ家と仲がいいことが有名だから。」


「ドッペル。」


「そう、俺たちはある意味、一番テトラと関係がない。故に発言すべき人材なんだよ。」


うーん、と考え込むF。そして、考えがまとまったのか急に真っ直ぐ前を向いてこう言った。


「俺はそういうことは頭が回らないが……確かにそうだ。テトラをそこまで気にする必要はないと思う。」


「──どうして?」


クレアが低い声で尋ねる。


「俺は知っている、この町の絆の強さを。赤狼事件の時、誰一人、俺たち以外を狙わなかった。スクナメルジャの霧の効果が無くなって目の色が変わった他の住人も、呪いの対象のような者だったのに誰一人彼らを責めなかった。敵の排除、誰一人その意思を変えなかった。」


淡々と、怯むことなく話す。開いた傷を忘れているのか?


「別に俺はこの町を恨んでいる訳じゃない。あの時は仕方なかった。昔のことを掘り返して攻めたい訳じゃない。」


Fは言葉とともに、頭を振った。


「俺はもう一つ知っている、この町の温かさを。俺がこの町に住み始めた後、スクナメルジャのことが広まって何人かが謝りに来てくれた。何人かが挨拶をしてくれるようになった。そしてだんだんと俺に笑顔を向けてくれるようになった。」


そこでFはクシャっと笑って、


「本当にこの町で良かった。俺は徒然町が好きだ。だから大丈夫。もし何かあっても全員で何とか出来る、俺はそう思っている。」


一秒に満たない沈黙の後、誰かがパチパチパチと拍手を送った。また一人、また一人……と拍手が増えていく。


「「そうだ!俺たちなら大丈夫だ!」」

「「テトラでも何でも、全く怖くねぇーぜ!」」


「うぅ、Fぅ、お前は何ていい奴なんだぁ……!」

エンは感動のあまり涙を浮かべ、Fに絡む。


「ああ、もう。うっとおしいっ!」

Fは照れ臭くなったのか耳まで真っ赤だ。


全員の空気が温まったところで、本日の徒然会はお開きとなった。


いや、全員じゃない。


一人は悔しそうに拳を握り、一人は黒い腹を隠して皆と笑い、そしてもう一人はクスッとくすぐったく笑った。


次の徒然会はいつだろう。

こんにちは。ななるです。


普段小説を書く時は、設定などまとめた資料を作るのですが、大量の資料を作っているうちに噛み合わない設定が気がつかないうちに出来てしまっている、なんてよくあることです(ダメじゃん)


えぇと……つまり……ごめんなさい!

早速ミスです。

Fの道場は西の森、道場が治めるドラゴンロードはフラッタの東。妙なズレが生じてしまいました。特に変更はしませんが、大した伏線でも無いのでお気になさらないで下さい。

「Fの先祖が酔っぱらってドラゴンロードまで無意識に出ていったら、強すぎるあまり制圧してしまった」

これでお願いします。(おい)


さて次回。「夏暑すぎてパネェ」

次回があれば、またお会いしましょう!

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