D-27:カフェ『あまやどり』にて
D-27:カフェ『あまやどり』にて
「えー、ゴホンっ!これより、徒然町町内会会議、通称『徒然会』を始めたいと思います。起立っ、キョウツケっ、礼っ!」
「「おねがいします」」
「いや、ガキかテメーらぁぁあああ!」
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徒然町町内会会議、通称『徒然会』は月に一度、行われたり行われなかったりする、つまり不定期な集まりである。
町内でまあまあ影響力のある人が集まって、徒然町をより良くするために話し合う、というのが建前で、いつもはただ集まって世間話をして解散というのが殆どだ。
しかし、今回はどうやら、少し様子が違うらしい……
それは徒然会開始30分前にさかのぼる。
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「うーん、やはりここは落ち着くなあ!木造の建物、家具、上品なコーヒーの薫り……あぁ、素晴らしいなぁ!」
エンがわざとらしく大きめな声で感嘆する。
ここはカフェ『あまやどり』。サトウ家具のちょうど真向かいに位置する、本日の徒然会の会場だ。
オーナーのリリィはエンと同い年。お団子にした明るい茶髪、特徴的な丸メガネ、その奥の黒い瞳。いつもエプロン姿でお盆を持っている、全体的に可愛らしい雰囲気。
そして、徒然町町内会の町内会長だ。
というのは肩書きだけで、他の住民が嫌がっているのを優しい彼女が自ら引き継いだらしい。それらしい仕事は特にない。
「エン君が一番乗りだね。」
リリィが微笑む。
「ふふん、当然だ!」
エンは席に座ったまま胸を張る。
「誰のお陰だと思っている……」
Fがため息混じりに小さく呟いた。
昨日、早く起こすようにエンに頼まれていたのだ。
「あ、それからF君とドッペル君、おはよう。もうこの町には馴れた?」
「うん。みんないい人で親しみやすいよ!」
ドッペルが元気よく答える。ちなみに、エンはもうドッペルに慣れたらしく、普通に話すことが出来るようになった。ただ、まだ家が吹っ飛ぶというトラウマは乗り越えれていないようだ。
「F君は?」
「俺は……いい町だと思う。」
「良かった!」
リリィが手を合わせて喜ぶ。と同時に持っていたお盆が床でカランと音をたてた。
「あっ、あっ……」
少しそそっかしいところのある町内会長である。
「しかし遅いなぁ。」
エンがドアの方を見て言う。
「あと十分で始まるのにな。」
「あっはは。きっとみんな忘れてるんだよ。」
エンはやれやれというように首を振りながらこう言った。
「これだから徒然町の変人どもは……」
「ほお、誰が変人だって?」
すらりとしたモデルのようなスタイル。長く美しい黒のポニーテール。しっかりと着こなされている真っ赤なスーツ。そして彼女の象徴、黒のハイヒール。
「あ、姉さん!」
「よっ!待たせたな、エン。それからFとドッペルだったけ。」
彼女の名前はクレア・ハイヒール。徒然町のドラゴンロード側の端にある、『フラッタ宝石店』の店主だ。
「リリィも待たせてすまなかったな。」
「いえいえ、まだ始まってませんし、ギリギリで来るところがクレアさんらしいです。」
うむ、と満足げに頷いたクレアはドシン、とエンの隣の席に座った。
「そうだ、リリィ。今日はダンバの爺さんは来ねぇってよ。」
ダンバ。鍛冶屋を経営している、頑固さで有名なお爺さんだ。
「……ふぅ。取り敢えず厄介者トップ2が揃うことはなくなった、と。」
「聞こえてんぞ、エン!」
「すいまっせんでしたあぁぁぁあああっ!」
賑やかな徒然会はもうすぐ始まる。(はず。)
こんにちは。ななるです。
今年の七夕はこちらでは成功しなかったようです。曇ってしまいました。
七夕、ということで!昨夜短編を出さしてもらいました。『「2」たす「2」の「4」』このシリーズとは全く関係ないのですが、是非読んでいただけたらな、と思います。
さて、次回。「徒然会」
次回があれば、またお会いしましょう!




