D-21:住所特定済み迷子の問題
D-21:住所特定済み迷子の問題
リンナはフフンと笑って、腰に手をあて胸を張る。
いわゆる、『エッヘンのポーズ』てやつだ。
「今日の私は依頼人。もっと丁寧に対応しなさい!」
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空耳かもしれない。Fは人差し指を立てながら、
「もう一度、はっきりと、どうぞ。」
「だから、今日は私、依頼人なの。」
からかわれているんだろうか?Fはもう一度確認する。
「落ち着いて、ちゃんと正しい言語で、さんっはい?」
リンナは大きく息を吸って、
「ワタシ、リンナ、依頼人、オ客様、神様!ヒレフセ愚民!」
「わー、神様だったかー。」
「あっはは。俺は何を見せられているのかな?」
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「で、その子は何だ?」
場所を移し、応接間で向かい合う四人。
少女はぴったりリンナに引っ付いて、上目遣いでこちらを見ている。
「この子、迷子なの。それで、あんたたちにこの子の親を探してもらおうと思って。──ほら、自己紹介して。」
リンナは少女にニコッと微笑み、手を少女の背中に回した。
少女はコクッとうなずいて、拙い動作で声を出す。
「──アリアデス。」
「アリアデス?強そうだな。」
「違うわ。『アリア、です』よ。──良くできました!スゴいスゴォーイ!」
リンナはアリアの頭を撫でくりまわす。えへへ、と照れて、アリアは笑った。
「どこで出会ったの?もしかしたらまだ近くに親がいるかもしれない。」
「あぁ、いちいち親を探す必要はないわ。住所、わかってるから。──アリアちゃん、鞄をお兄さんたちに見せてあげて?」
アリアはコクッとうなずいて「はい。」と、肩から掛けていた鞄をFに手渡した。
「なになに……。アリア・レイン、テトラ区本通り4の3番……何だ?俺達がやる必要無いだろうが。」
「テトラ区ってのが問題なの。私が簡単に行ってもいい場所じゃない。ねぇ、ダメ?」
リンナが『ねぇ、ダメ?』と言うときは、本当に困っているときだ。
それをFはわかっているから、断ることは出来なかった。
「──わかったよ。アリア、来い。家につれていってやるよ。」
アリアはリンナのそばから離れようとしない。まだ、少し警戒しているようだ。
「大丈夫よ。」
リンナはそう言った後、アリアの耳元に顔を寄せ、何かを囁いた。
「ほんとぉ?」
「ええ、本当。さぁ、行ってきなさい。」
アリアはコクッとうなずいて、タタタとFの元に駆け寄った。
「F、ありがとう。報酬は後日ね!」
「バイバイ、お姉ちゃん。」
アリアが手を振る。
「またね!アリアちゃん。」
リンナも手を振る。
「いってらしゃーい!」
そしてドッペルも手を振る。
「お前も来るんだよっ!」
何一人楽しようとしてんだ。
「いや、もしその子の母親がここを訪ねてきたら対応できるように、俺は残っておくよ。」
「確かに……!」
チョロイナー、と思うドッペル。
「じゃあ、そっちは頼んだ!」
さて、Fはテトラ区に無事にたどり着けるのか。
こんにちは。ななるです。
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ありがとうございます!
さて、次回。「遠くトークとおく」
次回があれば、またお会いしましょう!




