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D-14:黒被りの正体(只し、少女ではない)


D-14:黒被りの正体(只し、少女ではない)



 この世界の生き物は、別段他の世界とは変わったものがいる、なんて事はない。

 『ほとんど』一緒。


 …………ども、久し振り。世界説明さんだよ?


ゴホンっ。


 ほとんど、は一緒。そりゃあ場所が違うのだから、当たり前っちゃ当たり前なのだが、ちょっと珍しい生き物もいるのだ。


 例えば、赤狼。目が赤いだけの犬だ。さらには、この世界は瞳が赤い人間もいる。赤だけじゃない。黄色も、紫も、黄緑も、橙も……。数えればきりがない。


 そんなカラフルな動物の他にも、形が不思議であったり、能力が不思議であったりと様々な生き物がいる。


 生まれた理由はちゃんとあっても、知っている人間なんていないだろう。


 さて、今日は誰が話を覗かしてくれるのか。


──────────────


深い深い森の中。普段絶対に人は通らない道なき道。


一言も話さず、黙々と進むドッペル。それに黙ってついていくF。


 私やFは森には慣れているけど、ドッペルもなかなかね。森の歩き方をよく分かってるようだわ。


リンナは疲れてはいないが、正直、あまりついていきたくはなかった。確かにフラッタの黒被りの正体は気になるが、同時に正体を知ることに恐怖を感じていた。


 でも、()()()をFに知られたら──


嫌がおうにもドッペルを見張るしかないリンナである。


「ねぇ、聞きたいんだけどさ、」


ドッペルが振り向かずに言った。


「湖って、こっちであってる?」


「いや、全く反対方向だ。」


どうやら、まだまだ目的地まではかかりそうだ。


─────────────


「そろそろ湖よ。」


途中でFも迷ってしまい、最終的に何故か先頭に立っているリンナ。おお、ようやくか!などと呑気なことを言っている男共を横目で見つつ、黙々と足を進めていった。


木々が無くなり、開けた場所に出た。目に見えるは大きな湖と、


「グルルルルル……」


沢山の赤狼。どうやら歓迎はされていないようだ。


「いやぁ、着いた着いた!ありがとう、リンナ。」


広いところに出て安心したのか、ドッペルはうーん、と伸びをした。


「何呑気なこと言ってんのよ。あんた、赤狼まで連れてきちゃったの?」


「無傷で街から離すのが俺らの仕事だったし丁度いいと思って。それにここ、きっと彼らの巣だよ。明らかにさっきの数より多い。」


「え、それはあり得ないわ。前に来たときは赤狼なんて一体も見なかったもの。」


「俺も一年以上前だが、来たときに赤狼なんて見なかったぞ。」


ドッペルはクスッと笑った。


ガルルルルルル……今にも噛みついてきそうな勢いだ。気づけば周りを赤色の目に囲まれている。


Fの右手の指輪がキラリと光る。


「懐かしいね、その魔道具。」


Fは剣を構えた。リンナも拳を構える。


「あぁ、ストップストップ!」


ドッペルが大の字になって、今にも噛みついてきそうな二人をなだめた。


「赤狼は大人しい生き物だ。敵でないことを伝えれば襲ってこないよ。」


そう言ってドッペルは二歩前に出て立ち止まる。


辺りの空気が変わった。


一瞬で地面に、少なくとも半径十メートルはある魔方陣が浮き出てきた。


温かい青い光に包まれる。


 何でだろう、懐かしい感じがする……


赤狼たちはたちまち大人しくなり、その場に座った。


光は薄くなり、ゆっくりと消えた。


ドッペルはそのまま湖へ向かう。


「いくぞ。」


Fはリンナの腕を引っ張った。


「じ、自分で歩くわよ。」


もうちょっと強引に引っ張ってくれてもいい、なんて口が避けても言えないリンナであった。


─────────────


湖畔。


「何、これ?」


湖の水面に今まで見たことの無い、複雑な模様が描かれている。


「魔方陣?」


それはさっきのドッペルの魔方陣より規模が大きく、湖一帯に描かれている。


「魔方陣、てのは半分正解。これは結界術。しかも相当強力な結界だ。」


「何でこんなものが?」


ドッペルはクスッと笑った。


「分からないかい?封印しているのさ、湖に。フラッタの黒被りの正体を。」


「ここにそんなものが?一体それは何なんだ?」


リンナとFはまじまじと湖を見つめている。


「まぁ、待ちなよ。今結界を消すから──少し離れた方がいいよ。水に濡れてしまう。」


そう言ってドッペルは湖に左手を伸ばした。


「全く、本当に面倒なことをしてくれたな……」


手を開き、すぐにギュっと握った。


同時に強い風と共に眩い白い光が閃光する。


バシャッ、と湖から何かが飛び出した音がした。


冷たいしぶきを浴びる。


「キュォオオォオオオオオンっっっっ!」


目が慣れてきた。リンナもFも湖の上に浮かぶそれを見て絶句する。


十メートルはある巨体。形は例えるならエイやマンタに近い。長い尾の先はサメのように二つに分かれている。色は深い青をベースに黄色の模様がついている。頭部の上には天使のような天輪があり、体の周りに謎の黄緑の球体が浮いている。



「スクナメルジャ。それが黒被りの正体さ。」

こんにちは。ななるです。


スクナメルジャは友達と絵しりとりをしているときに生まれた奇跡の生物です。見た目が気に入って、どこかで使えないだろうかと試行錯誤しているときに、この回を向かえました。


さて、次回。「スクナメルジャ」


え、そのまま?ま、いいじゃないですか。


次回があれば、またお会いしましょう!


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