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D-10:ドルトン=フラッタ


D-10:ドルトン=フラッタ


「俺の結論からすると──」


ごくり。


「きっとリンナの見間違いだよ。そうに違いない。そんなドッペルゲンガーを差し置いてそっくりなやつなんているわけないじゃん!」


がくり。


──────────────


「何言ってんだ。お前が『敵』って言ってただろ?」


「そうよ、見間違いなはずないわ。」


「いいや、見間違いだ!絶対に見間違いだ。それ以外は断じて認めないよ!」


ふん、とそっぽを向くドッペル。


こいつ、意地でも認めない気だな。


三人の問答はしばらく続いたが、何の変化もなかった。


ガチャリ。


「やあ、F君。久しぶりだね。ニカさんに君が来てると教えてもらったからやって来たんだが、お邪魔だったかね。」


「パパ!」


がっしりとした体に裕福そうな服、余裕のある笑み。この男こそリンナの父にしてフラッタ現領主、ドルトン=フラッタその人である。


「お久しぶりです。ドルトンさん。お会いできて嬉しいです。」


「へぇー、Fも敬語使えるんだ。意外だね。」


ごんっ。Fはドッペルを一発殴った。


「おい、お前も挨拶しろ。フラッタ領主、ドルトンさんだ。」


ドッペルは頭をさすりながら、ドルトンに会釈した。


「君は?」


「俺はFの遠い遠い、とおーい親戚のドッペルと申します。最近Fの所にお世話になっています。挨拶が遅れて申し訳ありません。」


「いやいや、構わないよ。そうか、遠い遠い……なるほど。」


Fは小声でドッペルに尋ねる。


「おい、どういうことだ?親戚だったのか?」


「違うよ。ドッペルゲンガーなんて言ってたら面倒だから嘘をついたんだ。」


あぁ、なんだ。


「パパ、どうしたの?今日は確か夜まで帰らないんじゃ?」


リンナが首をかしげる。


「あぁ、実は町にいたんだが、モンスターが出てな。」


え?


「それで人手が足りないから取り敢えず屋敷に帰ってきたら、F君がいるじゃないか。いやぁ、ちょうどいい。リンナも回復したようだね。いやぁ、なんてグッドタイミング!」


あはははは、頭をかきながら笑うドルトン。


リンナは呆れた顔で、


「つまり?」


などと聞く。分かってるならわざわざ聞かなくてもいいのに。


「手伝ってくれないか?モンスター退治。リンナもF君もなかなかの手練れだ。安心して任せられる。」


─────────────


フラッタ中心街に向かう途中。


「わあっすごい!こんな立派な馬車、初めてだ!」


ドッペルは一人はしゃいでいる。


「喜んでくれて嬉しいよ。そういえば、ドッペル君。君は戦えるのかい?無理に着いてこなくても良かったのに。」


「大丈夫ですよ、ドルトンさん。こいつ、こう見えてかなり強いです。」


「へえ、そうなの?」


リンナが興味を持ったようだ。


「どれくらい強いの?Fくらい?そもそも剣士なの?それとも私と同じでコレ?」


リンナは自分の拳を指差す。


「いや、魔法だ。強さは俺やお前なんて比じゃない。実際に一戦やった訳じゃねぇが、間違いない。」


悔しいが、認めるしかない。


「あっはは。照れるなあ。そんなに誉めてもなにもでないよ?」


ドッペルは頭をかきながらヘラヘラしている。

調子に乗りやがって。


ん?


Fはリンナがドッペルを訝しげな目差しで睨んでいたのを見逃さなかった。


「で、どんなモンスターが出たんですか?モノによっては対策を立てないといけないですし。」


「あぁ、そうだな。」


ドルトンは急に真剣な顔をしてこう言った。


赤狼(せきろう)だよ。」

こんにちは。ななるです。

この小説は10話にしてやっとストーリーが進み出す、ナメクジストーリーです。

温かい目でお読みください。


さて、記念すべき10話です!次の10話はきっと少しは展開が早くなるはず!


次回、「ドルトン死す。」

まぁ死なないけど……


次回があれば、またお会いしましょう!

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