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あの人に死を  作者: 月見うどん
第4章 おっさんと神の謎
107/107

107.王と呼ばれた神の行方

「全く、思い通りにはいかねえもんだ」


「あははは、お主が先にこうなるとはの。しかもこれは酷い」


 どれくらいの時が経ったのか? もう数えるのも不可能なほど時というものは流れていった。


「あぁ、酷いさ。これ以上ないくらいにな。ソフィーが成した星は焼け爛れちまった」


「魔女っ子もどうしてこうなったのかと嘆いておる。お主との距離が近すぎたからの」


 俺は銀河を形成した。世界と合一を果たした、までは良かったのだ。

 日本人だった頃が幼虫で、神だった頃がいわば蛹。そして蛹から羽化するように俺は蝶になったつもりが、実は蛾だったと。

 他人事であれば笑える話だが、実情は全く笑えない。


「恒星ってここまで強力な光を炎を放つもんなのかよ。俺の知ってる太陽とは大違いだぞ」


「お主が強力すぎたのではあるまいかの?」


「そう言われてもな。否定のしようがねえ」


 銀河を形成したまでは良かったのだが、俺が成った恒星が異常だった。主にその放出する火力が、だ。

 感覚として異常な熱を放出している。アーリマン曰く、その姿は真っ白だという。

 もっとも近隣にある惑星は、表面が焼け爛れ、生命など存在すること自体が不可能となってしまった。そしてその惑星の核となっているのはソフィーだった。


 豊が核となった小惑星はソフィーの準衛星となっているのだが、半分近くは既に瓦解した状態で崩壊の日も近いだろうと思われる。

 崩壊した場合、核がどうなるのか? 豊の精神体に影響が出なければ良いのだが……。


 翻ってアンソニーは何故か恒星である俺から距離をとり、惑星の表面に水を湛えているように映る。俺と精神的に距離を取っていたような節はないので、上手くやったのだろう。あいつはそういう奴だ、要領のいいことこの上ない。


「どうしてこうなったのかと、俺が訊きたい」


「なに時期に、とはいえどれだけの時が掛かるかわからぬが、火力を弱るまで辛抱するのだな」


「それまで、あいつらが耐えられるかな? 無理だろ」


「うむ、実にバランスが悪いからの」


 ああ、最悪だ。仮に火力が弱まってソフィーたちが持ち直しても、今度はアンソニーの元まで熱が届かなくなる恐れがあった。


「なんで、こんなことになった?」


「ふふふふふふ。お主の在り様、そのままではあるかの。

 過剰な力を持つ王はこうなると示されたのだ、残された二体はどう思うかのぅ?」


「おっさんやサティのことなんぞ、知るか! 見舞いにすら来やしねえんだ。

 俺はもう動けねえ、太陽だってぇのによ」


「最も若輩の王がこれではの。奴らも戦々恐々としておるのだろうよ。

 明日は我が身じゃからの」


 もう本当に、他の神のことなんてどうでもいい。アーリマンだけが俺のこの現状を笑いに来るだけだが、それはいい。

 笑い飛ばしつつも、俺とソフィーたち従者の間を取り持ってくれるだけで十分だからな。


「そういえば伝言を頼まれておったのじゃ。骨馬から、元気でやっておる、と。

 あの古の水神も若き祟り神も健在じゃ、力が足りず、ここまでは来られるからの。

 儂が動ける間はこうして取り持ってやろう」


「ありがとうよ。明日は我が身と言えば、あんたもそろそろかもしれねえぜ」


「言いよるわ! ははははははは」

ありがとうございました。

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