01 =宛名のない手紙= *解答編
読み終わり、顔を上げると、ちょうど同じく読み終わったらしい葵と目が合った。
「ねえ倫吾、解けた?」
「条件少ないから自信ないけど……」
「ほんと? 教えて、私分かんなかった」
「多分、〝エアメールだった”」
「え? ……ああ、なるほど」
葵は一瞬目を瞬かせたあと、納得して頷いた。
「家族が何人もいても、その中で外国の人と文通してるのが自分だけだったら、即確信できる、ってこと?」
「そーゆーこと。もっとも、家族全員が違う言語を操ってるから宛名の文字で分かるとか、少女以外の家族が全員引きこもりの世捨て人で文通なんか絶対しないとか、そういうレアケースを挙げていけばキリがないけど、多分エアメールでいいと思う」
「そ、そのレアケースはさすがにないでしょ?」
「いや、あの人は時々そういう問題出す。そういう時は必ず伏線張るから、今回は違うとは思うけど」
「……あー……ま、確かにクロならやりかねないか」
半眼になってこくこくと頷きを返す葵に、俺はため息で返事をした。
「じゃ、そういうわけで、確かに渡したからね」
そして用事が済んだため、葵が踵を返して階段のほうへ向かった。
「……あ、ちょっとまって、葵」
「何?」
階段を上りかけた姿勢で振り返る葵に、俺は手に持っている封筒を軽く振った。
「これも〝宛名のない手紙”だったけど、なんで俺宛だって思ったんだ?」
「そんなの、決まってるじゃん」
俺の疑問に対し、葵はあはは、と笑い声をあげた。
「だって、MK荘で〝挑戦状”なんて受け取るの、倫吾くらいでしょ?」
「…………」
反論できず頭を抱えた俺に、じゃまた大学でね、と言い置き、葵は今度こそ階段を上っていったのだった。




